ご対面当日。

 

写真交換はしなかったので家を出る前にお互いの服装を伝え合う。

背が高いこと以外はどんな容姿かはわからない。

約束の時間が近づくにつれ緊張感は高まった。

 

少し早く待ち合わ場所に着いてしまったので

「着きました」とメッセージを入れて男性の到着を待つ。

 

近くに誰もいなかったのに、突然目の前に勢いよく人が飛び出してきた。

一瞬変質者かと身構える。

 

目の前に背が高く痩せた、おどおどした感じの男性が立っていた。

目印にと伝えられた同じ色のジャケットを着ている。

体に合ってなくて、よくみると中のセーターが毛玉だらけだった。

 

(え、この人?????????)

 

思わず固まってしまい、すぐに言葉が出なかった。

 

「あ、ダメならここで解散してもいいよ」

 

と言われたけど、流石にそんなことはできない。

今日のご対面のために有給をとったと聞いていた。

気持ちを立て直し、前日に男性が調べておいたと言うお店に向かった。

 

お店はお洒落なカフェレストランで、グループでランチを楽しむ若い女性客が多かった。

明らかに関係性の怪しいアラフィフのおじさんとおばさん・・・

場違いすぎて悪目立ちしてないか内心居心地が悪かった。

 

何を食べたのか思い出せない。

カトラリーを落としたりソワソワしててなんだか挙動不審な男性。

じーっと見つめられ、だんだん前のめりになって口説きモードに入りのけぞりそうになる。

 

「美人さんでびっくりした、可愛い、めちゃ好み、付き合いたい、etc...」

 

(ちょっと無理かも、早く帰りたい・・・あせる

 

1時間くらい我慢してなんとか食事を終えた。

 

ランチの後にデートも計画していたようだったけど、お付き合いは丁寧にお断りした。

ご馳走になったのでお礼を言い別れる。

別れ際なぜか「友達探し頑張って!」と激励された。

 

帰り道、頭の中が大混乱だった。

 

(さらにつづく)