障害福祉サービス等報酬改定のまとめ(その6) | あおいさんの部屋

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これは使えるか。又村です。

先日、いよいよ人工知能を使ってタクシーの相乗り調整機能と、それに伴う割引制度がリリースされるのだとか。事前に乗りたい方面を登録しておくのかな。

・・という、割り勘方法が良く分からないネタはさておき、今日も障害福祉サービス等の報酬改定(平成30年度報酬改定)で気になった点をお送りします。

【平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要】
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193399.html

しばらくは、新設されたサービスに注目したいと思います。今日は、「就労定着支援(就労定着)」を取り上げます。

就労定着のおさらいですが、就職後のフォロー(特に生活面でのフォロー)を目的としたサービスです。具体的には、就職したことで生活リズムが崩れて遅刻を続けてしまう、給料を浪費して月の半分は食事にも困る・・といった、職業スキル以外のところで仕事を続けることが難しくなってしまう状況を防ぎ、できるだけ長く働くことができるように支援するものです。
就労定着の利用については、就労移行や継続、自立訓練や生活介護などの福祉サービスを利用していた人が企業等へ就職した場合に限定されます。

報酬上のポイントとしては、利用者との対面による相談等や雇用企業への訪問、関係機関との連絡調整等を一体的に実施するものとされ、基本報酬は月額払いとなります。
職員配置は「就労定着支援員」を常勤換算で40:1(資格要件は定めない)で配置し、サビ管は60:1で配置することとなっています。なお、サビ管の配置は就労定着支援と生活介護、自立訓練移行又は就労移行や継続を一体的に運営している場合、それぞれの合計に応じた配置となります。
報酬額は次のとおりです。

まず、基本報酬は一般就労した利用者の職場定着率(過去3年の総利用者数のうち、前年度末時点で就労が継続している人の割合)によって大きく増減します。以下、すべて利用者数が20名以下の場合です。(21名以上になると、1人当たりの報酬が低くなります)

定着率が9割以上     3,200単位
定着率が8割以上9割未満 2,640単位
定着率が7割以上8割未満 2,120単位
定着率が5割以上7割未満 1,600単位
定着率が3割以上5割未満 1,360単位
定着率が1割以上3割未満 1,200単位
定着率が1未満      1,040単位

加算はいくつかあり、次のとおりです。

就労定着実績体制加算(300単位)
就労定着終了後に登録している障害者職業・生活支援センター(ナカポツセンター)等の要請に応じてアフターフォローすることなどを評価したものでサービス終了者の7割以上が3年半から6年5か月継続して就労している場合に算定できます。

職場適応援助者養成研修了者配置体制加算(120単位)
職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修了者を就労定着支援員として配置している場合に算定できます。

初期加算(900単位・1回のみ)
就労定着は併設されている就労移行などから就職して、そのままスライドして利用することが想定されているため、自事業所以外の就労移行などから就職した人を支援する場合にアセスメントなどを行う場合に算定できます。

企業連携等調整特別加算(240単位)
利用開始1年以内の人を対象に、頻回の支援や就職先企業・医療機関等との関係構築などを行う手間を評価して算定できます。

なお、就労定着を利用している人は、支援の趣旨が似通っている「自立生活援助」や「訪問型自立訓練(生活訓練))」との併用はできません。逆に、この2つ以外の福祉サービスについては問題なく併用することができます。


このように、就職後の生活支援が制度化され、定着率が高い方が報酬が上がる仕組みとなっていることで、就職後のサポートも充実することが期待される反面、何らかの福祉サービスを利用してから就職した人でないと就労定着を利用できないルールは今後の課題となりそうです。
たとえば、支援学校卒業の際に、卒業してすぐの就職も可能と思われる学生がいたとして、そのまま就職したら就労定着が使えず、敢えて就労移行を1年使えば就労定着が使えるとしたら、本人・家族・進路担当教員はどう考えるでしょうか。

なお、役割が類似している障害者職業・生活支援センター(ナカポツセンター)との役割分担については、3月14日に国から「障害者就業・生活支援センターと就労定着支援事業所の関係について」という通知が出ており、それによると次のとおりです。

就労定着の利用期間中は、就労定着の事業所が主体的に支援を行う。ただし、下記条件に当たる場合は、個別実施計画に位置づけた上で支援センターの協力を得る事も可能

(1)広範囲にわたる障がい特性(精神、発達、高次脳など)の理解や、企業に対する支援ノウハウ(職務遂行能力向上、職務再設計、雇用管理上の助言など)を習得しておらず、ナカポツセンターの協力が必要な場合
(2)就労定着の利用者が、ハローワークの実施する「チーム支援」の対象となっている場合
(3)ナカポツセンターが主催する在職者の交流会や勉強会、レクリエーション等の集団プログラムを就労定着の事業所で実施できない場合
(4)自立支援協議会などで協議した結果、ナカポツセンターからのノウハウ提供が必要と認められた場合

これで就労定着支援の整理は終わります。次回は「居宅訪問型児童発達支援」「保育所等訪問支援」に進みます。