総合支援法・発達障害者支援法の改正案が成立しました(お知らせ・その2) | あおいさんの部屋

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七色の寿司。又村です。

先日、レインボーカラーのベーグルがあるのはご紹介しましたが、どうやらレインボーカラーの寿司が存在する模様。食紅で酢飯や具材を染め抜いた巻き寿司が中心なのだそうです。正直なところ、意図が不明です(笑)

・・という、食べたら意外と美味しいかも知れないネタはさておき、今日も前回に引き続き、障害者総合支援法と発達障害者支援法の改正案が可決、成立しました、というお知らせです。今回は、法律の本体とあわせて重要な、法の「附則」と「附帯決議」を取り上げます。

附則とは、法律の施行に関する実務的内容を定めたもので、その中には次なる法改正のタイミングや検討すべき事項が示されることとなっています。

まず、総合支援法の附則については、次のような記述になっています。

【総合支援法の附則】
政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律による改正後の障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)及び児童福祉法の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


以上のことから、総合支援法(児童福祉法)の次なる見直しは法律の施行から3年後、つまり平成33年度が1つの目途となることが示されています。また、法律の施行状況を勘案することとなっていますから、まずは今回の法改正の内容が全国に浸透することが重要となります。

続いて、発達障害者支援法の附則については、次のような記述になっています。

【発達障害者支援法の附則】
政府は、疾病等の分類に関する国際的動向等を勘案し、知的発達の遅滞の疑いがあり、日常生活を営むのにその一部につき援助が必要で、かつ、社会生活への適応の困難の程度が軽い者等の実態について調査を行い、その結果を踏まえ、これらの者の支援の在り方について、児童、若者、高齢者等の福祉に関する施策、就労の支援に関する施策その他の関連する施策の活用を含めて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

以上のことから、発達障害者支援法の次なる見直しは特に検討時期が示されているわけではなく、疾病分類の国際動向や実態調査などを踏まえて、関連法令や施策との関係性も加味した検討を加えることとなっています。当面は改正がないともいえますし、すぐに改正されるかも知れません。


次に、それぞれの附帯決議をチェックしてみましょう。
附帯決議とは、法律の可決に際して衆議院・参議院から出される「宿題」のようなものであり、法律そのものではありませんが、重く受け止められます。

まず、総合支援法の附帯決議については、次のような記述になっています。なお、附帯決議は衆議院・参議院の両方で出されますが、今回は手元にあるのが参議院のみとなりますので、ご容赦ください。

【総合支援法の附帯決議(参議院)】
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

障害者の介護保険サービス利用に伴う利用者負担の軽減措置については、その施行状況を踏まえつつ、障害者が制度の谷間に落ちないために、その在り方について必要な見直しを検討するとともに、軽減措置の実施に当たっては、一時払いへの対応が困難な低所得者への配慮措置を講ずること。また、障害福祉制度と介護保険制度の趣旨を尊重し、障害者が高齢になってもニーズに即した必要なサービスを円滑に受けられることが重要との観点から、介護保険優先原則の在り方については、障害者の介護保険サービス利用の実態を踏まえつつ、引き続き検討すること。

入院中における医療機関での重度訪問介護については、制度の施行状況を踏まえ、個々の障害者の支援のニーズにも配慮しつつ、対象者の拡大等も含め、その利用の在り方について検討すること。また、障害者が入院中に安心して適切な医療を受けることができるよう、看護補助者の配置の充実等、病院におけるケアの充実に向けた方策を検討すること。

自立生活援助については、親元等からの一人暮らしを含む、一人暮らしを希望する障害者が個別の必要性に応じて利用できるようにするとともに、関係機関との緊密な連携の下、他の支援策とのつながりなど個々の障害者の特性に応じた適時適切な支援が行われるような仕組みとすること。また、既に一人暮らしをしている障害者も対象にすることを検討すること。

障害者が自立した生活を実現することができるよう、就労移行支援や就労継続支援について、適切なジョブマッチングを図るための仕組みを講じ、一般就労への移行促進、退職から再就職に向けた支援、工賃及び賃金の引上げに向けた取組をより一層促進すること。また、就労定着支援の実施に当たっては、労働施策との連携を十分に図るとともに、事業所や家族との連絡調整等を緊密に行いつつ、個々の障害者の実態に即した適切な支援が実施されるよう指導を徹底すること。

障害者の雇用継続・職場定着において、関係機関を利用したり、協力を求めたりしたことのある事業所の割合を高めるよう、事業所を含めた関係機関同士の連携をより図るための施策について、障害者を中心とした視点から検討を加えること。

障害者が事業所において欠くべからざる存在となることが期待されており、そのために重要な役割を担っているジョブコーチや障害者職業生活相談員の質の向上が求められることから、より専門性の高い人材の養成・研修について検討すること。

障害者が持つ障害の程度は個人によって異なるため、就労を支援する上では主治医や産業医等の産業保健スタッフの役割が重要であることに鑑み、障害者の主治医及び産業保健スタッフに対する障害者雇用に関する研修について必要な検討を行うこと。

通勤・通学を含む移動支援については、障害者等の社会参加の促進や地域での自立した生活を支える上で重要であるとの認識の下、教育施策や労働施策と連携するとともに、個別給付化を含め検討すること。あわせて、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の施行状況等を勘案しつつ、モデル事業を実施するなど利用者のニーズに応じたきめ細かな支援の充実策を検討し、必要な措置を講ずること。

障害支援区分の認定を含めた支給決定については、支援を必要とする障害者本人の意向を尊重することが重要との観点から、利用者の意向や状況等をより適切に反映するための支給決定の在り方について、引き続き検討を行い、必要な措置を講ずること。あわせて、障害支援区分の課題を把握した上で必要な改善策を早急に講ずること。

障害者の意思決定の選択に必要な情報へのアクセスや選択内容の伝達が適切になされるよう、意思決定に必要な支援の在り方について、引き続き検討し、必要な措置を講ずること。また、「親亡き後」への備えを含め、成年後見制度の適切な利用を促進するための取組を推進すること。
十一
精神障害者の地域移行や地域定着の推進に向けて、医療保護入院の在り方、地域移行を促進するための措置の在り方、退院等に関する精神障害者の意思決定、意思表明支援の在り方等について早急に検討し、必要な措置を講ずること。また、相談支援、アウトリーチ支援、ピアサポートの活用等の取組をより一層推進すること。
十二
障害児福祉計画の策定に当たっては、保育所、幼稚園等における障害児の受入れ状況や障害福祉計画との整合性に留意しつつ十分な量を確保するとともに、質の向上も含めた総合的な支援が計画的に行われるよう配慮すること。
十三
障害者等の家族を支援するため、専門家等による相談・助言体制の拡充及びレスパイトケア等の支援策の充実を図ること。また、障害児のきょうだい等が孤立することのないよう、心のケアも含めた支援策の充実を図ること。
十四
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の対象疾病については、医学や医療の進歩、指定難病に関する検討状況等を踏まえ、更なる拡充を図るなど、障害福祉サービスを必要とする者が十分なサービスを受けることができるよう、引き続き、必要な措置を講ずること。
十五
平成三十年度に予定されている障害福祉サービス等報酬改定に当たっては、安定財源を確保しつつ障害福祉従事者の賃金を含めた処遇改善、キャリアパスの確立、労働環境改善、人材の参入及び定着、専門性向上等による人材の質の確保等に十分に配慮して検討すること。
十六
災害発生時において障害者等が安全にかつ安心して避難することができるよう、個々の障害の特性に対応した福祉避難所の拡充及び専門的知識を有する人材の確保、養成を図ること。また、福祉避難所が十分に機能するよう、福祉避難所の周知に努めるとともに、日常からの避難訓練の実施、避難することが困難な障害者等の把握及びその支援方法等について早急に検討すること。さらに、障害者が一般避難所を利用できるよう施設の整備等に努めるとともに、災害で入院した重度障害者等へのヘルパーの付添い、災害時に閉所を余儀なくされた障害福祉事業所に対する支援などの緊急措置を、関係法令にあらかじめ明記することを検討すること。
十七
施行後三年の見直しの議論に当たっては、障害者の権利に関する条約の理念に基づき、障害種別を踏まえた当事者の参画を十分に確保すること。また、同条約に基づき、障害者が障害のない者と平等に地域社会で生活する権利を有することを前提としつつ、社会的入院等を解消し、地域移行を促進するためのプログラムを策定し、その計画的な推進のための施策を講ずること。

続いて、発達障害者支援法の附帯決議については、次のような記述になっています。

【発達障害者支援法の附帯決議(参議院)】

発達障害と診断された者及びその家族が適切な支援を受けることができるよう、ペアレントメンター等による心のケアも含めた相談・助言体制構築の支援を強化すること。その際、個々の障害の特性や家庭状況に対応できるよう、夜間等の相談・助言体制の構築についても留意すること。

小児の高次脳機能障害を含む発達障害の特性が広く国民に理解されるよう、適正な診断や投薬の重要性も含め、発達障害についての情報を分かりやすく周知すること。特に、教育の場において発達障害に対する無理解から生じるいじめ等を防止するには、まずは教職員が発達障害に対する理解を深めることが肝要であることから、研修等により教職員の専門性を高めた上で、早い段階から発達障害に対する理解を深めるための教育を徹底すること。

発達障害者の就労機会の確保及び職場定着のためには、個々の障害の特性に配慮した良好な就労環境の構築が重要であることに鑑み、職場におけるハラスメント予防のための取組やジョブコーチ等を活用した相談・助言体制の一層の充実を図ること。

発達障害者が持つ障害の程度は個人によって異なるため、就労及び就学を支援する上では主治医や産業医等の産業保健スタッフ及び学校医等の学校保健スタッフの役割が重要であることに鑑み、これらの関係者が相互に連携を図りながら協力できる体制を整備するとともに、産業保健スタッフ及び学校保健スタッ
フが受ける発達障害者の雇用や就学に関する研修について必要な検討を行うこと。

地方公共団体により障害者手帳の取扱いの状況が異なること及び発達障害者の多くが障害者手帳を所持していないこと等の実情に鑑み、障害者手帳について在り方を検討すること。

個々の発達障害の原因究明及び診断、発達支援の方法等に関する調査研究を加速・深化させるとも
に、発達障害に関する症例を広く把握することにより、不足している分野における調査研究に重点的に取り組むこと。また、これら調査研究の成果や国際的動向等も踏まえ、常に施策の見直しに努めること。その際、発達障害の定義の見直しにも留意すること。


今回は速報ですので1つ1つの分析は追い追いとしますが、このように、法律の創設・改正には多くの場合「附則」と「附帯決議」が付いてきます。それらの内容を知ることで、「さらにその先」を見通すことができるケースもありますので、興味を持ってみてください。

では、今回はこれくらいに。次回からまた課長会議のまとめに戻ります。