悠真が大学に合格した。

 

第一志望の大学に合格した。

 

そんな嬉しい知らせが、私の元に届いたのはその日の昼のことだった。

 

夫が不倫などしなければ、我が家が昔通りの我が家なら、普通に進学できたであろうその大学に、私はどうしても悠真を行かせてやりたかった。

 

それが私の、せめてもの償いだと思うから。

その希望が叶うのだ。

こんな嬉しいことはない。

 

 

 

その夜、私は美織と一緒に夕飯を作った。

心づくしのお祝いの料理を。

 

健斗は近くの100円ショップで「あんたが主役」のたすきとクラッカーを買ってきた。

 

こんなに心から、皆が手放しで喜べる出来事はいったいどれくらいぶりだろう。

 

我が家定番の唐揚げ

ちらし寿司にポテトサラダ、等々

料理がテーブルに並んだ頃悠真が帰って来た。

 

ちょっとだけ誇らしげな笑顔で。

 

「悠真、おめでとう!おめでとう!ほんと良かった」

と私が笑う。

 

「お兄ちゃんおめでとう!僕、東京のお兄ちゃんの部屋に

遊びに行けるね!やったー」

と健斗が笑う。

 

「お兄ちゃんおめでとう!私ライブで東京行くからその時はよろしく!」

と美織が笑う。

 

みんな笑顔。

 

「ちょうどご飯できたところだからまずはみんな席について」

 

「よーし食べるぞー!」

と悠真。

 

「あらためて、お兄ちゃん、おめでとう!乾杯!」

 

健斗がクラッカーを鳴らす。

 

こんな、ただただ嬉しいだけの食卓はいったいいつぶりか。

 

おそらく2年ぶり。

 

私は皆の笑顔が眩しくて

愛しくて

嬉しくて

楽しくて・・・・。

 

夫の不倫、そして別居離婚調停…。

 

そんな出来事を、忘れることができた一夜だった。

 

子供たちも、この環境の中それぞれが頑張っている。

前に向かって進んでいる。

私も前に進もう。

子供たちと一緒に。

 

心からそう思えた夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

だが

 

 

 

私は

 

 

 

まだ

 

 

この先私たち親子に

 

 

 

さまざまな出来事が

 

 

 

待ち受けていることを

 

 

 

その時は想像もしていないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 


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