夫が

不倫相手美加の家に

住民票まで移していたことは

ショックだった。

 

今さらながらだが

夫の本気が伝わったからだ。

 

と同時に

私や子供たちに対する気持ちが

夫の中には欠片もないことが

改めて伝わり

絶望した。

 

しかし

物事は

一方方向から見ればマイナスでも

他方向から見れば

プラスに働くこともあると

いつも結城弁護士は

私に教えてくれる。

 

この

住民票を移した件についてもそうだ。

 

夫の不倫を証明する証拠になる

そう言って諭す結城弁護士の言葉に

私は救われた。

 

この住民票の件で

私は一つ勝つ材料を

夫からもらったと思えばいい。

 

自分と子供達のために

戦うぞという意欲が湧いた。

 

やれるだろうかなどと

悠長なことを言ってる場合ではない。

 

悠真のセンター試験まで

もう4か月しかないのだ。

 

なにがあっても

私はやる。

 

「大学費用は出さない」と

言っている夫をねじ伏せる。

 

子供達の生活と

大事な未来を守るために。

 

 

 

 

差し当たっての問題は

お金だった。

 

調停の弁護士への着手金として

取り敢えずは20万必要なのだ。

 

「着手金はいつでもいいですよ」

 

我が家の家計の事情を

知った結城先生はそう言ったが。

 

依頼したからには

なるべく早く払いたい。

 

そんなことで先生に

迷惑はかけたくない。

 

夫は家を出るとき

家族の通帳を持ち去っていった。

 

その通帳は夫名義名のため

返せとは今は言えないらしい。

 

だから私の手元には

20万という大金はないのだ。

 

借金を頼めるあてもない。

 

しかし

落ち込んでばかりはいられない。

 

まず

私はありとあらゆるものを売った。

 

夫が買って置いていった大型テレビ。

アンプやスピーカー。

 

CDに本にあまり使わない家電。

 

私の自転車にバックに

結婚指輪に婚約指輪。

 

ワンピースやコートやスーツや喪服。

 

花嫁道具の着物一式。

 

買い取ってくれるというものは

片っ端から売りはらい

私のクローゼットは空っぽ同然になった。

 

それで得たお金が14万。

あと6万。

 

今の私には6万円は大きい。

 

あと節約するものと言えば

私の心療内科の通院費ぐらいしかない。

 

でも安定剤なしで

今の私は生きていけるのか。

 

でもお金は必要。

 

もしかしたら

これが最後の通院に

なるのかもしれない。

 

そう思いながら

私は一ヶ月ぶりに心療内科を

受診したのだった。

 

 

 

 


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