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源の語りについての補足

源の語り1

私の名前はね、源由加って言うの。


源。


知ってるかね、源。


もしくはゲンジ。


そう、ゲンジ。


え?知らないのかい?


そうかいそうかい。


そうかもしれないね。


もう何年、いいえ。そんな単位じゃないわね。


ずうっとずうっと昔の話なのよ。


ゲンジという集団が活躍をしたのは。


活躍…。


活躍じゃないかもしれないね。


でも、なんといったらいいか、それもわからないわね。


ただいたのよ。


ここにね、いたのよ。

砂漠にある宿泊所

その宿は砂漠の真ん中にあった。



その宿を経営しているのは一人の女の人だった。



宿の名前はエリという。



女の名前はエリではない。



でも宿の名前はエリと言う。



女の息子は世に言う放蕩息子だった。



十年前に飛び出したきり消息は分からない。



彼女ももう息子のことは忘れてしまった。



そもそも、自分に息子がいたかどうかも。



忘れてしまった。



日々、いつか来る宿泊客を夢見て、過ごしてる。



そうなのだ。



砂漠の真ん中にお客なんて来るわけが無い。



年に2度。



キャラバンが通るぐらい。



彼女はそのキャラバンを待ってるわけでもない。



じゃあ彼女は何を待っているのか?



宿泊所にいながら。



彼女の名前は、源由加。



砂漠で宿を営む源由加の絵巻物。