「13年後のクレヨンしんちゃん」
~シロ、オラ、待ってるから・・・~
2
目を開くと、もう辺りはうすむらさき色になっていて。
また、まばたきしているうちに一日が過ぎちゃったんだと思う。
ここのところ、ずっとそうだ。
何だかもったいない。
辺りを見回して、鼻をひくひくさせる。
しんちゃんの匂いはしない。
まだ、帰ってきてないんだ。
さっき寄せたはずのおちゃわんのごはんが、新しくなっている。お水も入れ替えられている。
のろのろと体を起こして、お水をなめた。
冷たい。
この調子なら、
ごはんも食べられるかと思って少しかじったけれど、
ダメだった。
口に中に広がるおにくの味がキモチワルイ。
思わず吐き出して、もう一度ねころがる。
夢のなかは、とてもしあわせな世界だった気がする。
僕はまた夢を見る。
しんちゃんと最後に話したのは、いつだっただろう。
僕はしんちゃんを追いかけている。
しんちゃんはいつものあかいシャツときいろいズボン。
小さな手は僕と同じくらい。
『シロ、おて』
『シロ、おまわり』
『シロ、わたあめ』
『ねえしんちゃん。僕はしんちゃんが大好きだよ。』
『オラも、シロのこと、だいすきだぞ。シロはオラの、しんゆうだぞ!』
わたあめでいっぱいのせかいは
いつもふわふわでいつもあったかで
いつまでもおいかけっこができる
いつまでも・・・。
つづく

映画 クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁 【DVD】