ミチノクサイシンの花が咲いていました。
学名
Asarum fauriei A.Franchet,
First published in J. Bot. (Morot) 12: 306 (1898)
↓
Asarum fauriei A.Franchet,(1898),in T.Sugawara,(2006),
↓
Asarum faurie A.Franchet,var.fauriei,autonym,inT.Sugawara,(2006),
Synonyms
和名 :ミチノクサイシン(陸奥細辛)
分布 : 青森県、岩手県、秋田県、新潟県、長野県、岐阜県
開花期 : 4~5月
特徴 :地下茎は細長く伸び、地を這って茎の先に、葉を普通年2個出す。葉は円形または腎円形で,長さ,幅とも2~4cm,表面は濃緑色で光沢がある。4~5月頃,雪どけとともに開花し,根ぎわに暗紫色の小さな筒形の花をつける。萼はやや上に広がった筒状で長5mm,径約 10mmほど。
積雪の多い地方に生育する為に、横へ横へと這うように地下茎を伸ばすと言う環境適合した性質が備わったものと考えられる。
語源
和名のミチノクサイシンは分布域・陸奥にちなんだものである。
Fauriei(ae) は、明治日本で採集した宣教師U.フォーリー (人名に因む)
Franchet 日本植物を研究したフランスの分類学者A.R.フランシェーの、「Franchet」(人名に因む)
青森県内のミチノクサイシンについて詳しく解説されている文献がありますのでここで紹介します。
(原文のままコピーしました。)
※青森県植物図譜・ミチノクサイシン,解説 細井幸兵衛
Heterotlopa fauriei (Franch.) F.Maek.ミチノクサイシン
県内では低山地から山地の林内で湿ったところに生えることが多い。
菊池幸夫・千葉瑞穂1986:青森県におけるウスバサイシン属2種の分布とヒメギフチョウ
について、青森の蝶Vol.9,No.4には、ヒメギフチョウの食草としてのミチノクサイシン
の産地を十和田市黄瀬、六ヶ所村平沼、三沢市谷地頭、八戸市鮫、恐山宇曽利湖畔、深浦
町追良瀬川下流部、蟹田町藤ヶ股沢、中小国、大平、広瀬等が記録されている。この他に
も産地があるので県内には広く産すると理解できる。
1965年頃、村田源からミチノクサイシンAsarum Fauriei Franchetの原記載のコピ-
が送られてきて、その産地のKamegaskaの地名はどこかと尋ねられた。その原文は次の
通りである。 Hab. -Le Japon septentrional, village de Karaegaska,aux environs de
Hirosaki (Faurie,n.2027) et un jardin a Tanabu (id.,n.2009).[産地一北日本,弘前
周辺のKaiegaska村(Faurie,n.2027)と田名部の庭の中(Faurie n.2009)]津軽の地名に
詳しい角田充と共同で調べ,これはKamegaokaのミスプリントで、遺跡で有名な今の木
造町亀ケ岡であろうとの結論に達し、更に田名部の庭にあったのは多分ソノフサイシンの
方でなかろうかと判断した。村田によればパリでこの(No.2027)の基準標本を見てきた小
泉源一の手記には1888年4月に採集したものである。京都大学には多くのフォーリーの控
え標本があるが、肝心の(No.2027)の控えがないので、近縁種との関係を調べるのに基準
産地のミチノクサイシンを知る必要があった。土門尚三1999:山形県北庄内の植物誌には
ミチノクサイシンの花の詳細図があり6花柱で1箇の花柱の一番下には葯が2ツ縦長に並
びその上に柱頭が1ツありその先が長く突き出て先端が尖って2岐している。蟹田産と脇
野沢産でも、土門の図と同じであるので、おそらく基準産地の株も変りないだろう。
日本の野生植物兇砲「前川文夫の報告資料によって記述し、栽培品を除いてある」
と説明し、ソノウサイシンは除かれている。青森県内の古い庭園にはミチノクサイシンに
似て葉先は凹頭で表面に斑が入って光沢がないものが下草として植えられている。それが
ソノフサイシンであり、花の構造は同じようである。村田によれば、名付け親の前川が
ソノフサイシンの和名とAsarum Fauriei var. serpens F.Maek.の学名を最初に発表し
たのは、石井勇編1944:園芸大辞典・誠文堂新光社であるが、裸名(記載文を伴わず、正式
に発表されてない学名)であること、その後大井次三郎1951:日本植物誌(初版)455に引用
され、更に昭和天皇1962:那須の植物には Heterotropa serpens F.Maek.ツルダシアオ
イとされ、昭和天皇1972:那須の植物159にも同様に出ているが、これらも正式に発表さ
れていな小とのことで、このように前川はソノウサイシンをツルダシアオイと改称し、ミ
チノクサイシンとは別種としての新学名を作ったが、正式な発表はしなかった由である。
青森県では古くから庭木の下草(地被植物・グランドカバ-プランツ)として当地方の日本
庭園に植えられているが、野生では見られない。かえってミチノクサイシンを庭に構えて
いるのは見たことがない。両者の形質の違いは可なりかけ離れているが、花はよく似てい
て区別出来ない。ソノウは後の引用者達によってソノフとも書かれて一定していないし、
その意味を解説したものを見る機会もなかった。園斑でなく園生であろうと思っているが
どんなものか?。
杉本順一1965:日本草本植物総検索誌 ではソノフサイシン(ツルダシアオイ)を使い産地
として栃木・北信を上げているが、野生か栽培かは述べられていない。大井はソノウサイ
シンの名で「栽培される」と述べている。因にソノウサイシンは2n=36の3倍体である
という。 3倍体植物は種子が出来ない代りに、栄養繁殖が盛んになる傾向がある。
Heterotlopa fauriei (Franch.) F.Maek.ミチノクサイシン
県内では低山地から山地の林内で湿ったところに生えることが多い。
菊池幸夫・千葉瑞穂1986:青森県におけるウスバサイシン属2種の分布とヒメギフチョウ
について、青森の蝶Vol.9,No.4には、ヒメギフチョウの食草としてのミチノクサイシン
の産地を十和田市黄瀬、六ヶ所村平沼、三沢市谷地頭、八戸市鮫、恐山宇曽利湖畔、深浦
町追良瀬川下流部、蟹田町藤ヶ股沢、中小国、大平、広瀬等が記録されている。この他に
も産地があるので県内には広く産すると理解できる。
1965年頃、村田源からミチノクサイシンAsarum Fauriei Franchetの原記載のコピ-
が送られてきて、その産地のKamegaskaの地名はどこかと尋ねられた。その原文は次の
通りである。 Hab. -Le Japon septentrional, village de Karaegaska,aux environs de
Hirosaki (Faurie,n.2027) et un jardin a Tanabu (id.,n.2009).[産地一北日本,弘前
周辺のKaiegaska村(Faurie,n.2027)と田名部の庭の中(Faurie n.2009)]津軽の地名に
詳しい角田充と共同で調べ,これはKamegaokaのミスプリントで、遺跡で有名な今の木
造町亀ケ岡であろうとの結論に達し、更に田名部の庭にあったのは多分ソノフサイシンの
方でなかろうかと判断した。村田によればパリでこの(No.2027)の基準標本を見てきた小
泉源一の手記には1888年4月に採集したものである。京都大学には多くのフォーリーの控
え標本があるが、肝心の(No.2027)の控えがないので、近縁種との関係を調べるのに基準
産地のミチノクサイシンを知る必要があった。土門尚三1999:山形県北庄内の植物誌には
ミチノクサイシンの花の詳細図があり6花柱で1箇の花柱の一番下には葯が2ツ縦長に並
びその上に柱頭が1ツありその先が長く突き出て先端が尖って2岐している。蟹田産と脇
野沢産でも、土門の図と同じであるので、おそらく基準産地の株も変りないだろう。
日本の野生植物兇砲「前川文夫の報告資料によって記述し、栽培品を除いてある」
と説明し、ソノウサイシンは除かれている。青森県内の古い庭園にはミチノクサイシンに
似て葉先は凹頭で表面に斑が入って光沢がないものが下草として植えられている。それが
ソノフサイシンであり、花の構造は同じようである。村田によれば、名付け親の前川が
ソノフサイシンの和名とAsarum Fauriei var. serpens F.Maek.の学名を最初に発表し
たのは、石井勇編1944:園芸大辞典・誠文堂新光社であるが、裸名(記載文を伴わず、正式
に発表されてない学名)であること、その後大井次三郎1951:日本植物誌(初版)455に引用
され、更に昭和天皇1962:那須の植物には Heterotropa serpens F.Maek.ツルダシアオ
イとされ、昭和天皇1972:那須の植物159にも同様に出ているが、これらも正式に発表さ
れていな小とのことで、このように前川はソノウサイシンをツルダシアオイと改称し、ミ
チノクサイシンとは別種としての新学名を作ったが、正式な発表はしなかった由である。
青森県では古くから庭木の下草(地被植物・グランドカバ-プランツ)として当地方の日本
庭園に植えられているが、野生では見られない。かえってミチノクサイシンを庭に構えて
いるのは見たことがない。両者の形質の違いは可なりかけ離れているが、花はよく似てい
て区別出来ない。ソノウは後の引用者達によってソノフとも書かれて一定していないし、
その意味を解説したものを見る機会もなかった。園斑でなく園生であろうと思っているが
どんなものか?。
杉本順一1965:日本草本植物総検索誌 ではソノフサイシン(ツルダシアオイ)を使い産地
として栃木・北信を上げているが、野生か栽培かは述べられていない。大井はソノウサイ
シンの名で「栽培される」と述べている。因にソノウサイシンは2n=36の3倍体である
という。 3倍体植物は種子が出来ない代りに、栄養繁殖が盛んになる傾向がある。