先日、友人が長野県木曽郡○○のゼニバサイシンの自生地といわれている場所より少しゼニバサイシンとは違うようですが、という個体を研究用にと採集してきてくださいました。この場を借りてお礼申し上げます。

この自生地は藤澤正平氏著「ギフチョウとカンアオイ」においてゼニバサイシン(キソジノカンアオイ・キンキカンアオイともいわれている)の産地と記載されています。しかし、近年投稿されたミヤマアオイの記載論文では同じ産地のカンアオイは「ミヤマアオイ」ということで産地名が出ていました。混成地ということでしょうか?

友人は二箇所にて研究用の個体を採集してくださいましたが、いずれも根茎の様子、花芽の位置などが違うようです。
私の勉強不足もあって、いったいどれがミヤマアオイなのかな??ということになってしまいました。根茎の長さは明るいところでは短く、陰地では多少伸長してしまうこともあって若干の個体の観察では不十分であり今後更に調査研究することにします。



来年の春になって咲くであろう花を観察することで少しでも違いがわかるのではと考えています。

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1の個体の地下茎は長く、途中で分岐して全てがつながっています。

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2の個体も地下の根茎は長く,1とは分岐する位置、花芽・葉芽の出る位置などが違うようです。

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3の個体ですが、1.2と比べ分岐する節の位置、葉の付き方などに同じと言えない異なった感じを受けました。

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*葉表、葉裏の様子です。

葉の形は個体差があり、葉の大きさは個体差、陽の当たり具合、土壌が肥えているか、いないかなどの状況で変化しますのであまりあてにならないと思います。

1の葉の様子です。

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2の個体です。

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3の個体の葉です。

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次の個体は別の友人から譲ってもらった同じ自生地でも少し違う場所の個体です。

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典型的な種の特徴があるのであれば同定は容易ですが、カンアオイの仲間はよほどの特徴がなければ見た目だけではほとんど違いのないものもあったり、中間的なタイプが存在したり同一種内でも変異幅が広くて別種かと思うようなこともあって、たとえ種を同定する為の情報文献などがあってもなかなか思うような判別ができません。こんなにややこしいってことは、ある意味まだまだ研究の余地があるということでもあります。

いずれ研究が進み今現在では線引きの難しいこれらもしっかりとした決め手が見つかれば、このような混乱を招くことも無くなることでしょうが、それには膨大な時間と資料作りが必要とされることでしょう。もう生きてはいないかもね。
ワハッハ……笑うしかないですね。


以上のように、長々と書いてしまいましたが、ますますカンアオイという植物が面白くなってハマっている今日この頃です。