ざっくり言うと、ワンマンな漢が親族経営の会社を複数立ち上げ、遂には家族が作り上げた戦後の莫大な資産を使い潰し、家運を傾かせた話なんだけど。

クソみたいな話ではなく、地方の豪商にありがちな、地域経済に貢献し続けた挙げ句、というパターン。


大昔っぽい、フェルトみたいな地の表紙。きっと発売時はパラフィン紙みたいなのもカバーに付いてたヤツね。

この本は作者の筆の旨さが際立っていて、

戦時下日本の本土空襲の際に、いかに会社の財産を守ったか、とか

戦後米国がどのような干渉をしてきたかとか

尊王攘夷派がどんな背景でどのように高官たちを襲ったかなどが

渦中の人や当事者に近い目線で語られているのが面白い


ちょうどJRの青春18きっぷで地方へ行って

地方で今も何とか頑張っているローカル電車に乗ってきたんだけど

日本全国に「俺がこの地域を発展させるんだ(そして儲けるぞ)」という漢達が沢山居たのだろうか…


この本のタイトルの方は、Wikipediaで探しても他の親族は出てくるのに出て来ないので

いち経営者なのだろうけど…

茨城県で茨城交通 略して茨交を

あちこちに伸ばしてあらゆる交通を傘下におき

更には電力会社なんかもやってた 勢力旺盛な方だった

(自転車操業だった)


現代もそうだけど、色々な事業やる人は、凡人には見えないものが常に見えているのかな

そして、その人を支える影の実力派が集まって来ていたんだろうな


面白い本だった

ただこの本の作者は、その後茨交が親族経営の末、

地方経済の行き詰まりもあり大赤字に持ち堪えられなくなって身売りした未来に

ご存命だったかも気になる