※妄想話です









「釣り行くなんて聞いてないんだけど…」

「今言ったからな」

「…今日は行かないでよ」


「なんで?」

「今日はいいよって送り出せる精神状態じゃない」



「は?…意味わからん」








あの日のニノとの会話


あの雨が降るなか

きっとニノは
俺が釣りに行ったんだと思って

心配して…電話かけてくれたんだよな


それなのに、連絡もせず
船長のとこ泊まって翌日釣りに行って



そのとき…ニノは


♪♪♪♪

「うおっ!」


…びびった

近くに置いてたスマホが鳴る




松潤からだ


「もしもし」

「リーダー?今大丈夫?」

「ん」

相葉ちゃんとの撮影

相葉ちゃんが一人で撮ってるから
俺は終わるのを待っていた


「現地から連絡きた」

「そっか…っ!それで…」

「うん、スタッフもマネージャーも皆無事」





無事…




はああぁぁ




よかったぁ…





「ニノは?こっちに向かってんのか?」


さすがに
ロケは中止だよな


「…リーダー、落ちついて聞いて」

「ん?なんだよ、そんな言い方して」













「ニノは…今病院にいる」














…は?



なんで

「リーダー撮影何時まで?チーフが終わり次第ニノの病院に行くみたいだから、リーダー一緒に」

「病院ってなんだよ」

「ニノは…」

「お前…っ今皆無事だって言ったじゃんか!なんで…なんでニノが」

「落ちついてよ!ちゃんと言うから」


落ちつく?

落ちつくなんて無理だよ




「ニノは…しばらく入院が必要らしい」




「…は?」

「俺も詳しくは聞けてないけど、ケガとかじゃないらしい」


ケガじゃないのに…入院?





「ごめん、まだ撮影残ってるから行くわ
 チーフがそっち行くから終わったら病院行こうって」

「…」

「…リーダー?大丈夫?」

「…ん、わかった…ありがと松潤」







…入院…?





なんで?





ケガじゃないなら

なんで

「終わった~、次リーダーどうぞ~」


「相葉ちゃん…」

「ん?なに…え、まさか…ニノ連絡きた?」

「…入院?してんだって」


「えっ!なんで!?」

「わかんね…このあと病院行こうって、ニノの」

「…ええっ…どうなってんの…」






そうだよ


なにがどうなってそうなったんだよ





「とりあえず…リーダー!撮影終わらすよ!
 はいっ行って!」



相葉ちゃんに背中を押される

「…ん」


ノロノロと押された勢いをつけて
歩きだす


眩しい証明が照される空間へ入り

眩暈がしそうだ




早くニノのとこに行きたい


入院が必要ならそれでいい

無事ならそれでいい


早く

ニノの体温を感じたい






相葉ちゃんとの撮影は
順調に録りすすみ巻いて終わった


「大野さん」

控え室に戻るとチーフが待機してる

「松本さんから聞いてますよね?遅くならないうちに向かいましょう」

「ねえ、ニノちゃんどうしたの?てか、結局なにがあったの?」


相葉ちゃんが
チーフに向かって歩きながら言う


「…僕もまだちゃんとは聞けてなくて」

「…聞けてないって」

「まだ現場が混乱していて…二宮さんが病院にいることしかわからないんです」


「そんな…」



「すいません、とにかく現場へ行きましょう…
 僕も早く二宮さん見て安心したいです」





「そうだね…リーダー!準備できてる?」




「え…あ、うん」


「さあ、急ぎましょう!面会時間が過ぎてしまいます!」


ちょっ
 
ちょっと待ってよ


なんだよ

「リーダー?大丈夫?意識ある?」

「…大丈夫、意識ある」

「行ける?」

「ん…行く」


「うん、じゃあチーフ、リーダーとニノちゃんのこと頼んだよ!連絡してよね!」

「わかりました、行きましょう大野さん」



とにかく急げと
車に乗せられニノの病院へと向かった




「…わかんないんだけど、なにがどうなって…」

「ええ、僕も全部は聞いてないので…
とにかく行って、二宮さんとマネージャーから
事情を聞きましょう」




なんで


くそっ!
なにがあったんだ…!






頭が混乱してるなか



ポッケに入ってるスマホが
ブルッと震えた



確認すると












「釣れた?」









ニノ…


ニノからの

ライン…っ!




慌てて画面を切り替え
電話する













出ない



なんで出ないんだよ…



電話を切って

「大丈夫か?」

ラインを送る

すぐ既読になって

「なにが?」



なにがじゃねえだろ!


また画面を切り替え
電話をかける















だから!

なんで出ないんだよ!















プッ




「…もしもし?」






「…ニ、ニノ?…!ニノか!?」

「えっ?」

運転中のチーフが
バックミラーからこっちを見る



「ニノ!」

「はいはい、あの…ここ病院なので」

「お前…っなんで…大丈夫なのか!?」

「はい、大丈夫です、すいませんがここ病院なので切りますね、失礼します」













…切れた







「大野さん?今二宮さんだったんですか?」

チーフがミラー越しに
話しかけてきた

「…うん」

「話したんですか?」

「うん…」


「そうですか…よかった…!」



「…うん」




ニノ



ニノの声だった



「…ニノ」




「もう少しで着きますからね」








よかった…


でも
顔を見るまでは安心できない






早く


早く