※妄想話です









はぁ…っ



やばいな


腰が痛いや


2本目の収録を終えて
怒涛のクリフクライムを終えたオレの体は


小さく悲鳴をあげていた



楽屋に戻る前に
スタジオの隅にあるイスに腰かける


…最近、腰のメンテ行ってなかったし

今日の打ち合わせの後…は無理か

何時に終わるかもわかんないしな


「二宮さん?」

マネージャーが寄ってきた

「どうしました?」

「腰がね」

「マッサージしましょうか?」

「…お願いできる?」

「もちろんです!」


皆で待機する楽屋とは別に

もう1つ取材用に準備されてる楽屋に入る


「今日は取材終わりましたから、奥の畳使いましょう」

「うん」


マネージャーが敷いてくれたマットに
横になり、大きな手で凝り固まった体を
解されていく




あ~



きもち~






「痛くないですか?」



「…んっ…全然…」


こいつ
マッサージの腕あげたなぁ


「寝ててもいいですからね」


「…」


「二宮さん?」

「…」


「…早いな」














「ニノは?」


松潤がコーヒーを淹れながら
辺りを見回す

「隣の楽屋におられます」


マネージャーが席を立ちながら答える



そういや

腰ダルそうにしてたな



「そろそろ3本目はじまるね」

翔ちゃんが壁にかかる時計に目をやる

「あ、俺ニノに声かけてくるわ」

チャンスとばかりに
勢いよく席を立つ


「大野さん、僕行きますよ」

マネージャーが行く手を遮ってくるけど

「大丈夫、行くから」

譲らない

ちょっとだけでもいいから
話したいんだよ

「じゃあ、ニノちゃんはリーダーにお願いして俺らはスタンバイしますか」



ナイス!
相葉ちゃん!


ありがと


楽屋を出て
隣にある扉をノックする





ガチャッ

出てきたのは
ニノのマネージャーだ


「大野さん?あ、もう時間ですね」


…そっか、こいつがいたんだ

「ニノは?」

「奥にいらっしゃいますよ、起こしてきます」

「あっ!いい!俺起こすわ」

えっ?
みたいな顔したマネージャーが

「…仲直りしたんですか?」

「仲直り…まぁ…」

「…僕、席はずした方がいいですか?」

「…できたら」

「本番まで少ししか時間ないですからね」


「わかってる…ちゃんと連れてく」



マネージャーが
小さく頷きながら部屋を出ていく





ニノが家を出ていって
すぐにマネージャーから連絡が来た


しばらく帰らないけど、居場所は
ハッキリしてるから心配するなと



あの時の俺は
まだまだ冷静じゃなくて
出ていったニノに対して
どこか冷めた感情しかなかった

むしろ
顔を合わせることが
ストレスでしかなくなっていたから

どこかホッとしていた
自分もいた




そんな俺の気持ちに

きっとニノも
気づいてただろう


多分
俺が自分を探すことも
しないだろうと思ってただろう




傷つけたよな



そんな
傷ついたニノを
マネージャーは近くで
支えてくれていたんだ


余計なことは
話さない奴だけど
現場で会ったときの
俺に対する冷ややかな視線


ニノを思っての
冷ややかさだったんだろうな











奥の畳に近づくと


マットの上で
うつ伏せでスヤスヤ寝てる



俺の恋人



寝顔を見るのも…久しぶりだな


上下する体に手をそっと触れると








温かな体温に




指先から
電気が走るような

不思議な感覚に襲われた








ニノだ







この柔らかさ

肌の質感

薄い唇







ニノ











ニノを感じたくて

這う指先が止まらない






肩を掴んで
仰向けにする


「…んん…」


体を動かされて
眉間にシワを寄せ
丸い手で両目をコシコシと擦る





ゆっくりと開く瞳が






少しずつ俺を映していく







「…っ大野さん?」

びっくりしたように
目を見開いて


不安そうな表情に変わった





「え、あっ…時間…」


ニノが近くの時計に目をやり
体を起こそうとしたから



肩を抱き寄せ
起こすのを手伝うふりして












思いっきり抱きしめた














抱きしめていてもわかる



ちょっと戸惑ってる


肩をすくめて
力が全然抜けてない






少し背中を撫でたら



ピクッて体が動いた







「…離して」


「…やだ」

「時間みて…行かなきゃ」



ニノに言われて
横目で時計を確認するけど

抱きしめる腕は緩めない






もう少し


ダメかな




ダメか…



ゆっくり体を離して
久しぶりに
間近でニノの顔を見る




相変わらず陶器みたいな
キレイな肌に
吸い込まれるような
薄茶色のキラキラした瞳

パチッと視線が合うと
  

戸惑いがちに
伏せられる

そんなニノが
可愛くて


ずっとずっと

見てたい






でも





「行くか」


今は仕事があるから

なんとか気持ちを切り替える


楽屋を出て

俺の少し後ろを歩くニノに
歩幅を合わせた

すれ違うスタッフさんに

挨拶を交わしながら

スタジオまで並んで歩く



時々
肩がぶつかったり
手が触れたりする




その度に

ニノが小さく

あっごめんって呟いた


よそよそしさが拭えないけど





これは大きな一歩だ

 

少しの時間だったけど

勇気だして
二人になれてよかった



全然話しはできなかったけど


久しぶりに触れたニノの
温かさと感触は


一瞬で俺のなかのニノの
存在を復活させた







触れしまえば
こんなに愛しさで溢れてしまう






ニノが好きだ
大好きだ







「大野さん、二宮さん入られます!」




気づいたらスタジオに着いて


隣のニノは

もうプロの顔に切り替えられてた






これ終わったら

今日は帰ってきてほしいと
伝えよう



少しでも早く

距離を縮められるように