●「離婚できますか?」は難しい質問

 

「先生、私離婚できますか?」

 

これは相談にいらっしゃる方からよく聞かれる質問です。

一見単純な質問ですが、答えるのは意外と難しいです。

 

一般的には、法律上の離婚原因があれば離婚できますし、そうでなくても3~5年別居をすれば離婚することができます。

しかし、相談者の方が知りたいのは一般論ではなく「このケースで自分が離婚できるかどうか」です。なのでこういった答え方では納得してもらえないことになります。

 

 

●ポイントは「相手に離婚するメリットがあるか」

 

こういった質問をされた時、私は「相手に離婚するメリットがあるかどうか」という視点から以下のようなお話をしています。

 

・再婚の可能性があるか

 

相手が再婚できそうなら離婚してもらいやすいですし、再婚の可能性が無さそうな人なら離婚は難しくなります。今現在、不倫相手がいるかという客観的な話ではなく、離婚したら再婚できそうな人かという主観的な見方です。再婚できそうにない方であれば、離婚はしてくれず、色々な面で争ってくることが多いです。

 

・あなたをどのくらい嫌っているか

 

籍を入れているのも嫌というほど嫌われているのでなければ、離婚は難しいかもしれません。

一般的に、バツイチになることは、避けたいですので、別居して顔を合わせなければ十分という場合も多く、それを超えて籍を抜くかどうかは、どこまで嫌われているかということにも関わってきます。

すでに夫婦の間で離婚の意思は固まっていて、あとは条件を詰めるだけという場合はもちろん離婚することができます。

「離婚したい」は口先だけのことも多いので、なんと言ってるかだけでは判別できません。

 

 

・離婚による経済的なメリットがあるか

 

離婚をして財産分与を行って養育費を支払って…という場合、一般的には離婚するよりもしない方が経済的に余裕がなくなってしまうケースが多いです。

財産に余裕があったり、逆に普段から生活費をしっかりもらえていないなど相手に経済的な余裕や信用がない場合は、離婚する方がメリットがあると言えるでしょう。

 

 

相談者の方は「自分は離婚できるんだろうか」ということが不安です。

なので、相手に離婚するメリットがあるかという現実的な点を一緒に考えることで、その不安を解消していただくようにしています。

 

相手に、離婚するメリットがない場合には、ある程度長期戦になることをご説明し、ご理解いただいた上で、作戦を練って事案を進めていきます。