プロ野球・読売ジャイアンツの山口俊選手が、暴行事件を起こした疑いがあると報じられています。

 

報道によると、山口選手は7月11日未明に酒に酔った状態で都内の病院へ行き、その際に警備員とトラブルになって、扉を壊したり警備員を負傷させたりした疑いがあるということです。

この件が明らかになったのは一週間後の18日で、その日に予定されていた山口選手の登板が見送られています。

いまだに詳細は発表されておらず、球団による山口選手への処分も未定です。

 

この報道にあるようなことが実際に起きたのなら、山口選手の行ったことは傷害罪と器物損壊罪に該当します。

一般企業の会社員が同様の事件を起こした場合、解雇される可能性は低いでしょう。

就業規則に「社員が犯罪行為を行った場合には解雇できる」と定められているケースもありますが、労働基準法では、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない懲戒処分は無効とすると定められています。

具体的には、犯罪行為によって会社の名誉や信用が著しく低下するなどの影響がないと、就業規則に従って解雇をしても、裁判で無効とされてしまう可能性があるということです。

 

もっとも、山口選手のようなプロ野球選手の場合は、どのような場合に解雇するかという条件も異なってくると思われます。

人気商売であるだけに、球団のイメージへの影響は小さくないと判断されるかもしれません。

 

今回の件で興味深いのは、事件が起きたとされる日から第一報までの間に一週間のブランクがあったことです。

報道によると、山口選手は警官が駆けつける前に病院から立ち去ってしまったと言われています。そのために、球団が事件について把握するのが遅れたのではないでしょうか。

 

交通事故の場合は、加害者が立ち去ってしまうこと自体が道路交通法の救護義務違反にあたりますし、刑事事件の場合も、逃亡によって裁判での心証が悪くなってしまう可能性があります。

去年の12月に当て逃げ事件を起こしたNON STYLEの井上さんも、交通事故を起こしたこと自体よりも、そのまま立ち去ってしまったことが厳しく批判されていました。

 

第三者から見れば「そこまで重い犯罪でもないんだし、逃げてもすぐにばれてしまうんだから、逃げない方がいいのに」と思うのが自然です。

まして山口選手も井上さんも有名人です。仮にその場をしのいでもいずれ発覚してしまうだろうし、逃げたことでイメージもますます悪くなるし、何一つ得がないのに……と思うところです。

 

事件や事故の現場から逃げるのは、ふてぶてしい性格で反省をしていない人のすることだと思われがちですが、私の経験からすると、現場から逃げてしまう人は、心が弱く、現実と向き合えない性格の持ち主であることの方が多いように思います。

冷静に考えれば「逃げた方が大ごとになってしまう」とわかるのに、こういったタイプの人は、心が弱いために、パニックになって視野が狭くなってしまいます。

そして、自分がまずいことをしてしまったという現実から目を背けて、できれば何もなかったことにしたいと考えて、その場から立ち去るという行動に出てしまうのです。

 

山口選手は今年巨人に移籍してきたばかりということで、問題が発覚して自分や球団のイメージが悪くなることへの恐怖心が人一倍強かったのかもしれません。

低下したイメージを払拭するためには、自分の心の弱さを自覚した上で、起きてしまったことにきちんと向き合って反省の気持ちを示していくことが必要だと思います。

今後の報道にも注目していこうと思います。