「やはり儂は鬼に縁があるようじゃな」
戦場まで後一丁、拙者はさらに強く馬の腹を叩く。
「はぁ!」
そして、拙者は槍を構え戦場に突撃する。
「うおおおぉぉ!」
勢い良く飛び出した拙者の馬に数名の足軽が吹き飛ばされる。
「ぐあっ!」
拙者は倒れた足軽たちには目もくれず突き進む。
目指すは唯一人。
そして、拙者の視界にその人物が入り込む。
異様な龍の兜をつけた騎馬武者。間違いない。
「鬼武蔵!」
拙者が大声で叫ぶと、鬼武蔵もこちらに気がつく。
「・・・また来たか、朱槍」
拙者は鬼武蔵の前で馬を止める。
「一応、『槍の半蔵』っちゅー字(あざな)があるんだがね」
拙者の言葉に鬼武蔵は鼻で笑う。
「覚えるまでもない。朱槍で十分じゃ」
「ほだら、嫌でも覚えさせたるわ・・・ん?」
そこで拙者は鬼武蔵の姿に違和感を感じる。
以前会った時とは印象が違うな・・・羽織か?
この時、鬼武蔵は真っ白な陣羽織を羽織っておりました。
「洒落た羽織を付けとるの~死に装束のつもりか?」
拙者の言葉に鬼武蔵は答える。
「いかにも。先の羽黒での敗北で、儂の羽柴軍での面目は丸潰れじゃ。此度の戦、死してでも羽柴軍が勝たせてもらう」
「ほうか、ほだら死んでくれ」
拙者がそう言うと、両者は睨み合い槍を構える。
一瞬の静寂の後、両者は駆け出す。
「いざ、勝負!」
「おう!」
・・・・・・・・・・つづく
守綱めも
一丁・・・約109めーとる