守綱記 第十三章「小牧・長久手の戦い」十 | グレート家康公「葵」武将隊

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天下統一を果たした徳川家康公のふるさと、岡崎市の観光隊を務める
”グレート家康公「葵」武将隊”による日記です。

「やはり儂は鬼に縁があるようじゃな」

戦場まで後一丁、拙者はさらに強く馬の腹を叩く。

「はぁ!」

そして、拙者は槍を構え戦場に突撃する。

「うおおおぉぉ!」

勢い良く飛び出した拙者の馬に数名の足軽が吹き飛ばされる。

「ぐあっ!」

拙者は倒れた足軽たちには目もくれず突き進む。

目指すは唯一人。

そして、拙者の視界にその人物が入り込む。

異様な龍の兜をつけた騎馬武者。間違いない。

「鬼武蔵!」

拙者が大声で叫ぶと、鬼武蔵もこちらに気がつく。

「・・・また来たか、朱槍」

拙者は鬼武蔵の前で馬を止める。

「一応、『槍の半蔵』っちゅー字(あざな)があるんだがね」

拙者の言葉に鬼武蔵は鼻で笑う。

「覚えるまでもない。朱槍で十分じゃ」

「ほだら、嫌でも覚えさせたるわ・・・ん?」

そこで拙者は鬼武蔵の姿に違和感を感じる。

以前会った時とは印象が違うな・・・羽織か?

この時、鬼武蔵は真っ白な陣羽織を羽織っておりました。

「洒落た羽織を付けとるの~死に装束のつもりか?」

拙者の言葉に鬼武蔵は答える。

「いかにも。先の羽黒での敗北で、儂の羽柴軍での面目は丸潰れじゃ。此度の戦、死してでも羽柴軍が勝たせてもらう」

「ほうか、ほだら死んでくれ」

拙者がそう言うと、両者は睨み合い槍を構える。

一瞬の静寂の後、両者は駆け出す。

「いざ、勝負!」

「おう!」

・・・・・・・・・・つづく

守綱めも
一丁・・・約109めーとる