みなさんは日本史においてどんな場面が好きですか?
自分は何と言うか、清廉潔白の理路整然とした立派な方が予想通りの展開の歴史を築いた一瞬より、権力という究極の欲望の塊を手にする為に形振り構わない行動によって築き上げられた歴史の瞬間に醍醐味を感じる。


そんな自分の大好きな一瞬いっぱいあります!



政争とはよくあるもので、その政争が人物を際立たせた象徴として、昌泰の変がある。学問の神様と言われた菅原道真公が左大臣藤原時平の讒言によって大宰府に流されたという有名な話。やはり、藤原一門の閨閥の前には学者の道真公でも太刀打ちできなかったのである。


武家の一族支配の走りともいえるのが鎌倉期の北条一門。この一門もとかく凄い。自らに匹敵する、梶原、比企、三浦等々を一網打尽につぶしていき、残った有力反北条御家人は鎌倉末期に挙兵した足利一門ぐらいであろう。しかしながら、その足利一門といえども代々の当主は北条の娘を嫁に迎える事によってその首根っこを押さえつけられていた。鎌倉時代の約100年は武家政治としては元寇などの大きな事件を除いて、支配システムとしては確立していた感じはある。それも閨閥というある意味数に満ちた世界である。



時代は飛んで戦後政治。日本の政治はまさに数によって支配された。それは閨閥ではなく、政治家という人間ひとりひとりの数となりえた。かつて田中角栄は「政治は数、数は力」と述べ、自らの派閥を数で固め、さらに鉄壁の結束を以て権力の中心に立った。そう権力を得るにはいつの時代も数なのだ。革命だって一人じゃ起こせない。数という力を以て革命を成しえるのである。


しかし、私は数だけでは解決できない問題もある。マイノリティを見くびる事の積み重ねは数を敵に回しかねないという事になるのである。


歴史の示す数の力も長いスパンで見れば破壊されていっているのもまた事実なのであるから。