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 この菩薩たちの大集団は上席として、上行〈じょうぎょう〉(優れた修行を行う者)、無辺行〈むべんきょう〉(無限の修行を行う者)、浄行〈じょうぎょう〉(清浄な修行を行う者)、安立行〈あんりゅうぎょう〉(よく確立された修行を行う者)という四人の菩薩がいた。彼らは大集団の先頭に立ち、世尊に向かってこのように語った。
「世尊におかれましては、無病息災で安楽にお過ごしでしょうか。人々が世尊を煩わすことはないでしょうか」
 世尊は、四人の菩薩にこのように言った。
「その通り、私は無病息災でいる。また私の衆生たちは、挙動が優れ、理解力があり、指導しやすく、私を悩ますこともない。それはなぜかと言えば、彼らは前世において、諸仏のもとですでに準備を整えたいたからである。だから仏を見るだけで、また教えを聞いただけで、私に傾倒し、仏の智慧を理解して、それに没頭するのである」

 その時、弥勒菩薩を始めとする、ほかの幾千万億の菩薩たちは、このように考えた。
「菩薩の大集団が大地の割れ目から踊り出て、世尊の前に立ち、礼拝することを、未だ見たこともなければ聞いたこともない。これらの菩薩たちは、どこから来たのであろうか。世尊よ、そのわけを教えてください。この無数の菩薩たちはどこから来たのでしょうか」
 世尊は弥勒菩薩にこのように言った。
「誠によいことだ。あなたが私に尋ねたことは重大な事柄なのだ」
 そこで、世尊は、菩薩の集団であるすべてに話しかけた。
「お前たちはすべて、敬虔〈けいけん〉であれ。心を統一して、確固たる信念を持て。決して失望するな、如来の智慧は思考を超越しているのだから。私は嘘偽りのない言葉を語ろう。如来たちの稀有な、未だ聞いたこともない教えを、お前たちは今日聞くであろう。
 弥勒菩薩よ、お前に告げよう。そしてわからせてあげよう。この菩薩たちの数は数えることも比較することも、見積もることもできない。お前たちの見たこともない彼らが今、大地の割れ目から現れ出た。
 私はこれらすべての菩薩たちが悟りに到達するように、彼らを成熟させ、決心させ、専念させ、確信させ、理解させ、覚悟させ、教化したのである。
 これらの菩薩たちは、大地の下にある中空の世界に住み、仏の智慧に従って、幾千万劫の間、修行した。これらの菩薩たちは、この教えを根本的に心で理解しようと専念し、孤独を楽しみ、交際を喜ばず、安逸を貪る〈むさぼる〉ことなく、世間から離れて暮らし、仏の智慧に没頭しているのだ。
 そして彼らは、私の息子であり、私の国に住んでいる。前世の記憶を持つ彼らは勇気を持ち、光り輝いて自信を持って教えを説く」
 弥勒菩薩は、世尊に次のように言った。
「世尊は、この世に滞在されたわずかな時間、ガヤーという都城の菩提樹の下で悟りを得てから四十年というわずかな時間で、どのようにして数え切れない菩薩たちを成熟させ、悟りへと導いたのでしょう。
 もし、二十五歳の青年が、百歳の人々を息子だと言って紹介しても、誰も信じないでしょう。疑念が一掃されるように、どうか教えてください」




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第十五章 従地湧出品 おわり
解説 法華経を広めるという意思が宇宙を生み出す
につづく