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 しかしそんなスットダナーの願いとは裏腹に、この皇太子には生まれながらにシッダ能力(霊的直感知)が備わっていました。



  有名なエピソードとして、12歳のシッダールタはシャカ族がその年の豊作を天に感謝する豊穣祭において、王族や大臣とともに貴賓席に座るなか、ひとり自らの心を豊穣祭の行われる会場の近くに舞い降りた小鳥に移し、その一生を追体験したといいます。



  こうしたエピソードから見ても、シッダールタは生まれながらにチャクラがかなり開いた人であったことがわかります。



 しかし今と同様、当時においてもそうした分野を明確に語れる人などまずなく、その霊体験をシッダールタ自身もどう受けとめていいかわかりませんでした。



 そして、このころからシッダールタは世の無常について考え始め、やがて誰からも教えられることなく、真実を求めるべく瞑想を始めました。



 それから日に日に感受性を高め、世の矛盾や不条理についての質問を、一般教養を教える教師達に見境なく繰り返すシッダールタの姿を見て、スットダナーは嫌な予感を感じます。



 どうもシッダールタは、俗世間のことより形而上学的社会の矛盾のほうを重要に思っているようです。


   アシタ仙人のふたつの予言のうち、世界をひとつにまとめる転輪王の道ではなく、お坊さんの道の方へとこの息子は傾いてしまっている。



 そう感じたスットダナー王は、さらにこの息子に寒期、暑期、そして雨期用の美しい宮殿を3つも建築します。



   そしてそこに美しい女官や踊り子を集め、息子が、役にも立たない哲学探究より俗物的快楽に傾くようハーレムとしました。



  ハーレムでは、毎日毎夜、狂乱の式典が行われ、シッダールタ青年はその真っただ中でもてなされ続けます。しかし彼は、そんな宴には見向きもせず、やはり哲学的な思索を続け、そして家庭教師や大臣達がしどろもどろしてしまうほどの難問を繰り返すのでした。

「なぜ人間は生まれるの?」

「なぜ人間は死ぬの?」

「なぜ人間は老いるの?」

「なぜ人間は病で苦しむの?」

 見境なく教師達にくいつくこの息子の姿を見るにあたり、スットダナーはかえって霊的導師をつけないことがこの息子にとって愚であることを悟り、考えた末、実学の教師のほかに高い位のバラモンや評判のサモンをあてがいました。

 そして質問はすべてそうした霊的導師へと向けられるようにし、シッダールタのこの傾向は何とかおさまります。



  そうしてようやく落ち着きを取り戻したのを見ると、スットダナーはなんとかこの浮世離れした息子を俗世間に引き戻そうと、嫁をとらせることを思いつきます。




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