序  品


一 いわれ




 「さとり」に到達された一切の仏たちに敬礼し奉る。一切の如来・独覚・聖なる声聞たち、過去・現在・未来の求法者たちに敬礼し奉る。




 広大な教えを説いた経典の王者であり、

 最高の目的(さとり)に導く入口を教え示し、

 偉大な道である『正しい教えの白蓮』を、

 衆生のために、余は説くであろう。




 このように、わたしは聴いた。あるとき、世尊はラージャ=グリハ(王舎城)のグリドゥラ=クータ(霊鷲山)に滞在して、千二百人の僧と一緒にいた。これらの僧はすべて阿羅漢で、汚れもなければ、欲望のわずらいもなく、自己に克ち、心も理智も巧に迷いを離れており、高貴の家の生まれで、偉大な象であった。かれらは為すべき義務をすべて為し遂げて、重荷を棄てて自己の目的を達成し、この世のきずなを断ち切っていて、完全な自制によって心に迷うことなく、あらゆる心の動きを制御して、六波羅蜜を完成しているばかりでなく、神通の智慧の傑出した偉大な声聞衆であった。




ハリネズミハリネズミハリネズミ



言葉が難しいので分かるところだけ解説してみます。

ひとつだけ漢字が出て来なくて、読みも分からなくて???を付けています。にんべんに喩の右部分です。分かる方は教えて下さいウインク



阿羅漢

「応供」、あるいは「殺賊」とも訳され、一切の理論的迷(見惑)と情意的迷(思惑)とを滅した人。



六波羅蜜


①「布施」

ほどこしを意味する。完全に純真な気持で行なう物質的なほどこしや精神的な恵みをいう。


②「持戒」じかい

元来は「戒」の意。これは身体(身)・言語(口から・意志(意)の三者による悪業を避けることをいい、特に身体による悪業とは殺生・ち???盗・邪婬をいい、言語による悪業とは妄語戒で、中傷と非難を娯しむことをいう。


③「忍辱」にんにく

「忍耐」の訳で敵の味方とを差別せず、高貴な者と卑賤な者との間に差別を設けることなく、怒りに対して平静で友好的な心の態度(すなわち、忍耐)である。


④「精進」

日夜怠ることなく善業に努め励むことをいう。


⑤「禅定」

「瞑想」の意の訳で、精神を一つの対象に専ら注ぐこと、すなわち自他の統合であり、真実への愛着、貴賤を問わずすべての者に対する慈悲であると説明される。


⑥「智慧」ちえ

一切を明確に見通す鋭い理智であり、さらにこの世に存在するすべての本質は空であるという認識をいう。



法華経 上  岩波文庫より

勝手に解説しています。