「いきなりラブホに行くのも何だから、うちに来なよ!」

「え?龍ちゃんのアパートに?」

俺は日頃から女を連れ込むためにきちんと掃除だけは欠かさなかった。


駅から歩いて5分くらいの所に俺のアパートがある。家賃7万円の2LDK。

「さあ、夏美、入って!」
鍵を開けて夏美を中に入れた。

「わぁ~片付けしててキレイなお部屋ね~」

「台所、ジロジロ見るなよ」

「だって~すごいよ。きちんと片付けてるのね。彼女がしてくれてるの?」

「彼女なんていないさ。いたら夏美を部屋に入れたりしないさ」

「そうだね~」

夏美は笑っていた。その笑顔が少し懐かしく思えた。
俺はしばらく夏美に見とれていた。
トトロのような女性を想像していたからだ。

夏美は太っているが見苦しい太り方ではない。顔が小さいからだろう。

俺は身長185センチで体重が60キロの痩せた体。どちらかと言うと太めが好みだ。

白いシャツからは胸の谷間が少し見える。

ヒラヒラと桜の花びらが落ちる中、夏美が言った。

「龍ちゃん、お願いがあるの」

「何?」

俺は見とれていて焦って聞き返した。

「あまり人がいない所へ行きたい」

「夏美、いきなりラブホか?」

俺はとっさにいつものエロい口調になった。

「いつものメールの龍ちゃんに戻ったね。ラブホでもいいから。人に見られたくないから…」

俺は思った。夏美は人妻だから、男と会ってるのを見られたくないんだ…。

「いきなりラブホとはうれしいね~押し倒すぞ!」

「龍ちゃんたら~」

夏美は笑って言った。
夏美と初めて会ったのは、桜が咲く季節だった。

携帯メールで待ち合わせ場所を決めた。
俺と夏美の家は案外近かったので、近くの駅で待ち合わせることにした。

俺達はお互いにお互いの顔を知らないが、夏美は自分で自分のことを
「体重は100キロ近い大女だから、会うのが恥ずかしい」
とメールしてきた。

俺はそれでも会ってみたかった。

「俺だっておじさんだし、バツイチでいい男じゃない。大丈夫、お願いだから会ってみよう!」
俺は何度も強引にお願いした。

夏美は仕方なくOKしてくれた。

約束の日曜日の午後1時、駅の前の桜の木の下で俺は待っていた。

「龍ちゃん」

俺は名前を呼ばれて振り向いた。
そこにはかわいらしい女性が立っていた。

「龍ちゃん、私よ。夏美だよ」

俺は信じられなかった。夏美がこんなに可愛い女性だったとは。

39歳にしては若い張りのある頬がほんのり朱く
肩まである少し茶色い髪が風に揺れていた。
ぽっちゃりした体を白いシャツとブルージーンズが色っぽくかくしていた。

俺は思わず聞いてしまった。
「あれ?100キロも体重あるの?」

満開の桜が夏美にヒラヒラと舞い降りていた。