
早朝から蝉時雨、盛ん。
蝉時雨の中、夕影にカナカナが鳴き出すと、
第九「歓喜の歌」の中に、突然ドビュッシーが
飛び込んできた感じで、頭が混乱する。
まだ盛夏だというのに、カナカナは、
あの高く美しい声で、秋の気配を知らせてくれる。
哀切を絞るような鳴き声に、耳が立ち、
鳥肌立って、行く夏が惜しくなり、
蝉時雨も暑さも手元に捕まえておきたくなります。
カナカナは蜩(ひぐらし)と言ってれっきとした
蝉の仲間ですが、
「君さぁ、ほんとは樹木ではなくて、草場の陰から
鳴いているんじゃないの?」というイメージが拭えません。
一度鳴いている姿を間近に見てみたいものです。
追・・濡れたように銀色に光る薄い羽の美しさ。
先日、羽化したばかりの蝉を見つけ、
よく羽化したね、と言ってやりたくなりました。
