みくるです
『なぞりがき万葉集』をなぞりました。
春の草花より「ヤマブキ」を詠んだ高市皇子の歌です。
山吹の 立ちよそひたる
山清水
汲みに行かめど 道の知らなく
巻2-158 高市皇子
(現代語訳)
山吹が咲き匂っている山清水を汲みに行きたいが、道が分からないことよ
異母妹・十市皇女が急死した時に詠んだ挽歌三首のうちの一首です。
里中満智子さんの『天上の虹』では、高市皇子と十市皇女は幼い時から想いあっていて、結婚の約束をしていたと描かれています。
ですが、天智天皇の息子の大友皇子に嫁がされてしまいます。
その後、父親の大海人皇子(天武天皇)と夫の大友皇子が争うことになり(壬申の乱)、敗れた大友皇子は自死します。
敗戦の妻という微妙な立場に立たされた十市皇女は、自分の存在が高市皇子の立場を悪くすると考え自死してしまいます(自死したというのは里中満智子さんの創作で実際の所は分かっていません)。
『日本書紀』には「十市皇女、卒然に病発して、宮中に薨せぬ」とだけ記されています。
この歌は十市皇女の死を悼んで詠まれた歌三首のうちの一首です。
山吹に寄せて「ゴールデンイエロー」のインクでなぞりました。
高市皇子は持統天皇の即位後に、最高位の太政大臣になった優秀な人物ですが、残されている歌は三首のみで、三首ともが十市皇女の死を悼む歌です。
その三首を「みくるの森」でご紹介しています。
万葉歌碑巡り【犬養万葉記念館】高市皇子の挽歌三首～十市皇女の死を悼んで
高市皇子は『天上の虹』の登場人物の中で一番好きな人なので、つい熱を込めて書いてしまいました
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