おはようございます☀

映画「キリエのうた」を観ました。3時間くらいある映画なので退屈しないか少し心配していましたが、話が割と複雑で歌もあるので3時間必要な映画でした。

以下ネタバレありです。


この映画は東日本大震災を扱っていますが、主軸ではなく、話の要素の一つかと思います。

キリエが路上ミュージシャンとして成功する過程を描きながらキリエの出生の話やキリエのマネージャーであるイッコの話も過去から遡って描いています。

結構、内容は複雑です。年代もあちこちに飛びます。しかし、伏線が徐々に回収されて整理されていくので見終わったらスッキリしました。


私は本当のキリエ(主人公の姉)の高校時代のお芝居というか、あの女の子のキャラクターは苦手でした。ネチっとした話し方とか夏彦への上目遣いでの迫り方とか。アイナ・ジ・エンドさんが姉と妹の二役します。

映画の後半に描かれる震災のシーンは地震で揺れた様子から始まりリアリティがあり長いのですが、

「なぜ、3月なのにすぐに服を着ないんだ」(揺れてからしばらくお風呂上がりの下着姿のまま)

「どうして夏彦が言うような小学校に避難せず、自転車で低い土地に行ってしまうんだろう。」

とイライラしながら観ていました。


アイナ・ジ・エンドさんの歌はこの映画の為に書き下ろされたもののようで素晴らしかったです。

また、有名な曲をカバーしても歌っていましたが、どの曲も大体知っているので親しみやすく、アイナさんの世界観もあって良かったです。

演技は上手いというよりは独特の存在感がありました。カフェでプロデューサーに無茶振りされて歌うシーンとかも歌はとても上手いし迫力がありました。歌に生きるキリエを演じるなら歌えるアイナさんさんしかいないんだろうなぁと思います。


松村北斗さんは私は観たことがなかったのですが、路上で泣きじゃくるシーンのお芝居がとても上手いと思いました。医学部受験へのプレッシャーや高校生の彼女の妊娠、津波で行方不明になった彼女の身寄りがなくなった妹を守れなかった苦悩がよく出ていました。


黒木華さんはいつも通り安定感があります。保護して面倒を見ていた小学生の路花(主人公)を児童相談所に引き渡すものの、一旦引き渡すと行政側は「血縁関係がなく、路花の個人情報だから路花の居場所は教えられない。」と路花に会わせてもらえず、それに抗議するシーンが良かったです。たとえ子供であれ人の気持ちをおざなりにするルールって何なんだろうと思いました。


広瀬すずさんが演じるイッコは結婚詐欺をしていたと映画の後半でわかる天真爛漫なキャラクターなのですが、暗くなりそうなテーマの映画に色を与えている感じがしました。実際にウィッグが毎回違ってカラフルだったのですが、あれは結婚詐欺をしていたから身元を隠すためだったのではないかと推測してます。


とりとめもなく感想を書きましたが、シェアしたような音楽が好きな方、岩井俊二監督の作品が好きな方(私はラストレターが特に好きです)にはお勧めしたい映画です。


「憐れみの讃歌」、いい歌だと思いました。