『覆面作家は二人いる』 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

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『覆面作家は二人いる』(著/北村薫)

 

ミステリーの本を読んでいると巻末に北村薫さんの作品が紹介されていることが多々ある。

タイトルに惹かれたこともあり、図書館で借りてみた。

世間知らずの『超』お嬢様、新妻千秋と、ミステリー誌の編集者である岡部良介の凸凹コンビが謎を解いていくミステリー。

良介から事件の概要を聞いただけで謎解きをほぼ完結させる千秋さんは安楽椅子探偵と言えなくもないが、現場に向かってこそ千秋さんの魅力は発揮されるのである。

警官が双子の兄の良介、ウサギのオルゴールにサンタクロース、クッキー缶と誘拐事件、終わらない万引き事件・・・。

 

おや?なんだか既視感がある(^▽^;)

 

トリックなどの詳細は覚えてなかったが、どうやらン十年昔に一度読んだことがあるようだ。

30年以上前の作品なのでどこかで出会っていても不思議はない。

ほぼ初見と同じ感覚で楽しめたので良しとしよう。

 

トリックの解き明かし方もさることながら、この作品はキャラクターたちがとても魅力的だ。

一見苦労性な良介はなかなか狸な一面を持っているし、優秀なはずの良介の兄・優介もどこか抜けている。邸内の千秋お嬢様は気弱そうに見えてグランドピアノを大人買いしたと思ったら数か月で飽きて処分してします豪快さを持っている。対して邸外の千秋お嬢様はがさつそうば癖に可愛らしい仕草を披露したりする。

また良介の上司も意外な推理力を見せたりする。

こんな人たちがこんがらがって物語が進むのだ、魅力的な展開になるだろう。

大凡が叙述トリックで事件が解かれるのだが、細部がちょっと想像しにくい事もある。

それを差し引いても続編が読んでみたいと思わせる作品だった。