突然だが、私の母は密かに過保護である。
娘のすることを一々心配し忠告してくる。
心配して貰えるのは有り難い話なのだが、行き過ぎるとこちらの行動も制限されてるようでやりずらい。
そんな中、寄りによってな失敗をやらかした。
缶詰のフチで指をパックリ切ってしまったのだ。
私が缶詰を使う度に、母は口を酸っぱくして切らないように気を付けなさいと言っていた。
私も気を付けていたのだが、使い終わった缶を洗っている最中にうっかりやってしまったのだ。
まずい、非常にマズイ。
この事がバレたら次から缶を使う度に親に煩く言われて・・、もとい、ひどく心配されてしまう。
私はとっさにティッシュで傷口と血を押さえた。
思ったよりもガッツリ切っていたらしく、血は簡単に止まらない。
不幸中の幸いだったのが作っていたのが私のお弁当用のストックのおかずだったことだ。
家族の食事を用意しているわけではないので、この作業に関しては母はノータッチである。
殆ど調理は終わっていたがまだ完全に片付いたわけではない。
ティッシュで傷口を押さえつつ片付けを進めるがそれも限界だ。
私はこっそりと自分の部屋に戻った。
家の絆創膏を使おうとすると母に見つかる可能性が高いが、私の部屋には靴擦れ対策用の絆創膏が置いてある。
靴擦れで良かったなどと遁走したことを考えつつ絆創膏を装着してキッチンに戻る。
これで安心と片付けを始めた途端、そのことに気が付いた。
あまりの出血のため絆創膏が止めきれずに流血寸前になっているではないか。
私はこの絆創膏を諦めた。
再びティッシュで傷口を押さえつつ残りの作業をなんとか終わらせる。
母もまだ私の状態に気が付いてない。
自室に戻り、ある程度流血が落ち着いたところで新しい絆創膏を貼った。
これで一安心。
話はやや脱線するが、傷口をティッシュで押さえていた時、箱ティッシュは問題なく使えたのだが何処かで貰って来たポケットティッシュは血で湿気った肌に張り付いてしまった。
やはりお金を出して手に入れた物はそれなりなのだろう。
金額云々の話をすれば、傷口に使っている絆創膏。
実は靴擦れ用のつもりで安物を使っていたのだが、手を洗ってタオルで拭こうとしたら血が滲んでタオルに血が移ってしまった。
折角の隠ぺい行為がこんなところでバレては元も子もない。
私は慌てて部分洗いをして胡麻化した。
これなら父が食べこぼしをした口を拭いた後に見間違えるはずだ。
やはり絆創膏はバンドエイドが良いのだろう。
午後の買い物で私はこっそりとバンドエイドを追加購入しておいた。
これで本当に安心だ。
ちなみに事件発生から数時間経っているが母はまだ私の指に絆創膏が増えたことに気が付いてない。
もし後から聞かれたら紙で切ったとでも言っておこう。
これにて本日のミッションは終了とみなす。以上。