以下の文面はフィクションです。
実在する人物、団体、組織、某ボカロ原作舞台等とは一切関係がございません。
似てる人が居ても、それは偶然の産物です。
妄想と現実を混同しないように気をつけましょう。
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宣言通り、直樹を先頭に青の国からの来訪者たちはその日のうちに帰国する旨を正式に伝えてきた。
王や王妃は何か失礼でもあったのかと心配したが、直樹はあののんびりした笑顔で
「僕のお見合いが失敗するのは趣味みたいなもんですから」
と説明になっているのかいないのか判断しかねる謎の言葉を残した。
趣味でお見合いされちゃ、たまったもんじゃねぇ。
普段ならそうツッコミであろう雄輔も、直樹の急な帰還になんだか落着けない。
直樹が勝手に勘違いしたままだというのもある。
それ以前に、直樹を騙しているというのもある。
だけどそんなんじゃなくて、もっと大事な何かを忘れてるような、手元にあった物を失くしてしまいそうな。
この心許ない感覚は何なのだろう？
「ノック」
すっかり帰り支度の整った直樹に声をかける。
だけど名前以上何を話しかけたら良いのか分からない。
今は目の前に居る彼だが、やがて国境の遥か向こうに帰ってしまう。
雄輔がおいそれとは逢いに行けない、近くて遠い場所に。
「今度はちゃんとさよならを言えるね。
前のときはあやふやなままお別れしちゃったから」
事も無げに直樹は言葉を連ねる。
簡単に『さよなら』とか『お別れ』とか言って欲しくないのに。
もうちょっと一緒に遊んでようよ。
隠し事があるこっちは大変だけど、でもそれも楽しい刺激だよ。
もっと沢山、同じもの見て同じこと感じて同じように笑って。
ううん、何もしなくても良い、ただ傍に居て欲しいんだよ・・・。
寂しそうに萎れる雄輔の表情に、直樹は困って眉を歪めながら微笑んだ。
そんな顔をされたら帰りづらくなっちゃう。もっとここで遊んでいたくなっちゃう。
でも。
「帰らなくちゃ。僕は青の国の王子だもの。
自分の国に帰って、これからどんなふうに国民を導いていくべきか、見極めていかないとね」
そしていつか、どんな王様になりたいか自分の未来を見付けられたら、真っ先に君に報告にしに来るよ。
だからその時まで、少しだけ待ってて。
「楽しい国だね、黄色の国は。負けないくらい青の国も明るい国にしてみせるよ」
「頑張ってくれよ、こっちはそっちの属国なんだから、お前が倒れたらこっちまで潰れちまう」
「どうだろ？黄色の国の人たちはしぶとそうだからなぁ。こっちが倒れたくらいじゃ何でもないでしょ」
可愛げのないひっくり返ったような高い声で笑う。
この笑い声だけは直樹のイメージと懸け離れている、でもそこが直樹らしいとも思う。
「ノッ・・・、王子、そろそろ出ますよ」
向井に呼ばれた瞬間、雄輔を眺めていた直樹の表情がスッと止まった。
あれ？と思う間もなく、彼に抱き付かれる。
抱き付くのは雄輔の専売特許なのに、先を越された。
だから倍の力強さで彼のことを抱き締めた。
「ありがと雄ちゃん、また絶対に会いに来るから」
「うん、いつでも遠慮しないで来いよ。・・・友達だろ」
そうだね。
笑顔だけで直樹が優しく返事をくれた。
その笑顔を、絶対に忘れたくないと思った。
気持ちを切り替えたのか、雄輔の肩を軽くポンと叩いて直樹は彼の元を離れた。
視線の先に、見送りに来てくれた大海の姿がある。
今日も今日とて苦しいのを我慢してコルセットガッチガチのドレスを身に纏って。
「いろいろとお騒がせしました」
「いえ、こちらこそ充分なおもてなしも出来ませんで・・・」
「僕は楽しかったですよ、初恋の人にも貴方にも会えましたし」
それからそっと身を屈めて、直樹は何事かを大海の耳元に囁いた。
途端に大海の顔に驚きの色が走る。
困惑の大海が声を発そうとする前に、直樹はさらに続けて言葉を伝えた。
意味有りげな笑みを浮かべた直樹を、凝視したままで大海が固まる。
それでもなんとか喘ぐような思いで、大海は緋色の唇を動かした。
「あ、あの・・・」
「心配しないで。悪いようにはしないから」
小憎らしいウィンク一つ置いて、直樹は待ちくたびれてる向井の元へ赴いた。
一瞬呆然と動きを止めてしまった大海だったが、見送る為に慌てて彼らのほうへ向きなおる。
雄輔や剛士も同様に、直樹の後姿を目線で追いかけていた。
あの空色のマントが翻り、直樹が少しだけこちらを振り返る。
バイバイって手を振ったその顔には、惑いの欠片も残ってなかった。
続く
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今日で終わるはずだったよな、その予定だったよなぁ。。。
次で終わります、終わらせます。
だからもう少しお付き合いくださいまし～～。
そしてこれを読んだら、今晩21時からの『相棒』をよろしく。
大海ちゃんが出演しまっす♪（＾O＾）/