『ぼくのお姫様♪』 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

逢海司の「明日に向かって撃て!」

ご注意下さい!!私のブログは『愛』と『毒舌』と『突っ込み』と『妄想』で出来上がってます!!記事を読む前に覚悟を決めてくださいね(^^;。よろしくお願いします☆

以下の文面はフィクションです。

実在する人物、団体、組織、某ボカロ原作舞台等とは一切関係がございません。

似てる人が居ても、それは偶然の産物です。

妄想と現実を混同しないように気をつけましょう。

 

 

 

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

 

 

むかしむかし。

 

もしくはどこか遠い星の出来事。

 

とある大陸に存在する黄色の国は、何代か前の諍いが原因で青の国の属国となっておりました。

 

王家は存続しておりましたが、青の国のいう事には逆らえません。

 

それでもそれなりに黄色の国も平和に過ごしていたある日、青の国から大変なお達しが来ました。

 

なんと、黄色の国のお姫様を、青の国の王子のお嫁さんとして差し出すように、というのです。

 

これには黄色の国の王様やお妃様を初めとしたお城の人たちが頭を抱えました。

 

無論お姫さまを差し出すことは心配が多いのです。

 

でもそれよりも大変な問題がありました。

 

黄色の国のお姫さまは、

 

実は男だったからです。。。汗

 

 

 

 

 

「想定外の事態だよな~~~」

 

黄色の国の警備隊長である赤の騎士、剛士は思いっきり眉間に皺を刻んだ渋い顔をしていた。

彼は黄色の国の第一王女が実は男である、という事実を知っている数少ない人物の一人だ。

『王女は病弱のため、外出もままならぬ状態』と言い張って隠してきた国家機密が、まさか一番最悪の形でバレる危機にさらされるとは、まさに神の悪戯としか言いようがない。

 

「って言うか、なんでこんなややこしい事態になったん?」

 

剛士譲りの赤き鎧の女剣士、ミソノ(英語表記面倒なんでカタカナで失礼します)の問い、城の執事見習いの大海が答える。

 

「元々はこっちの杞憂が招いた事態ともいえるんですけど、うちの王女(実は王子)が生まれる少し前に、青の国の跡継ぎの王子が流行り病で亡くなりましてね。そんなときに黄色の国に男の子が生まれた、なんて言ったら青の国から何を申し付けられるか分かったもんじゃないと城の上層部が慌てたわけです。で、生まれてきたのは女の子でしたって嘘の報告をしちゃったんですよ」

「何それ?なんでそんなヤバイ嘘ついちゃったの??」

「青の国のお妃は、歴代の中でも相当きっつい方で有名でして、影では『青の魔女』なんて呼ばれていたんですよ。そんな人なら息子を亡くした嫉妬で何を言い出すか分からない。なので相手を出来るだけ刺激しないように『女の子』で通してしまったんです」

「その後に青の国にも新しい王子が生まれ、うちの国にも弟君に恵まれ、お互いお世継ぎが出来てお家は安泰、めでたしめでたし。といくはずだったんだけどな」

 

大海の後を引き継いで語った後に、また剛士は深いため息を漏らす。

どちらの国にも王子が生まれ、この件に関してはこれ以上の接触はないだろうと甘く見ていたのが不味かった。

というか、男の王女の後始末の方法を考えておかなかったのがそもそもの問題なのだが。

 

「病気が悪化して亡くなりました、とか言うか?」

「それにしたって向こうからの縁談が来たこの時期では胡散臭過ぎますよ。絶対に青の国から突っ込まれますって」

「来週には青の王子がお見合いしに来るんだろう?それまでにどーにかせんと・・・」

「なあ、青の王子って直接会ったコトないんやろ?やったら代理立てればええんちゃうの?」

 

ミソノのあっさりとした提案に、剛士と大海が顔を見合わせる。

確かに病弱を理由に城から殆ど外出したことがない黄色の王女(実は王子)と青の王子は面識がない。

最近の肖像画も作ってないので、実際に別人が出てきても青の王子は気が付かないだろう。

 

「でもそのまま代理人を青の国にお嫁に行かすのは危険過ぎ・・」

「や~か~ら~、その代理の子が青の王子から嫌われるようにすればええやん。いくらオカンの押しつけでも、本人が気に入らんかったら結婚せえへんやろ?」

 

さすが腐っても女子。政略結婚のなんたるかよりも、男女の機微を優先した発想は一理あった。

強硬派の青の国のお妃が一度決めた話を簡単に引っ込めるとは思えないが、次の手を考える時間稼ぎくらいはできるだろう。

そうなると必要なのは機転のきく王女代理である。

 

見た目が王女らしく気品と美しさがあって、病弱だと言い張っても納得できるくらいに華奢な体格が望ましい。

かつ、相手の王子を手玉にとってうまく嫌われるように仕向けるだけの機知に富んだ人物。

 

ひらめき電球タケシサン、ヒラメイタ!

 

「よし、サッキー、そういうことだから頑張って青の王子に嫌われるように振る舞ってくれ」

「なんで僕が身代りやる前提なんですかっ!女の子ならミソノさんで充分でしょ!!」

「え?あたし?!(〃∇〃)」

 

つるのくんにお姫さま仕様のドレス姿披露できる~♪と浮かれた乙女心を、そうと気づかない剛士が一蹴する。

 

「お前、ミソノが病弱なお姫さまに見えるか?それに警備隊員だぞ、バレるに決まってる!

・・・、ってミソノちゃん、なにふくれっ面になってるの?」

「べーつーにーっ!)`ε´( ブーッ」

 

剛士、女心がイマイチ分からない男であった。

ミソノの気持ちはともかく、以前に公務で剛士と共に青の国へ出向いたことがあるので、向こうが顔を覚えている可能性もある。

それよりは顔の知れてない大海のほうが安全だが、大海にだって訴えたいことがあった。

 

「いっくらなんでも三十路過ぎた女装はきっついでしょ!代理だってバレる前に僕が男だってバレますよっ!」

「ブー、残念でした。ここでの年齢設定はリアル世界より12年ほど遡ってるのでサッキーはまだ二十代なりたてですぅ。つうか、王子の花嫁問題語るのに、肝心の二人がアラフォーじゃ絵的に萎えるだろ」

 

はっきり言いましたね、つるのさん(-"-;)

 

「二十歳のサッキーなら女装もいけるんちゃう?あ、ちゃんと眉は手入れしてな」

「って、なんであっさり裏切るんですか、ミソノさん!」

「それじゃ早速王と王妃にこの案を報告して、今後の事とサッキーのドレス作りについて細かく相談しよう。行くぞ、サッキー」

「僕はまだ納得してません~~!」

 

ジタバタを最後の悪あがきをする大海を引き連れて、剛士はさっさと王たちの元へ向かった。

その足取りは、まさに『意気揚々』という言葉がぴったりくるくらいにテンションが上がっていた。

 

「つるのくん、完全にサッキーを女装させたいだけやん。まあ面白そうではあるけど・・・」

 

もちろんこの話はトップシークレットなので、無暗に話の輪を広げるわけにはいかない。

すでに事態を知っている大海が代理になったほうが、今から若い娘を探してお姫様に仕立てるよりもずっと早いし安全だ。

この際(剛士にためにも読者のためにも)可哀そうだが大海には犠牲になってもらおう。

 

「で、雄輔はあのドタバタに付いていかんでええの?」

 

終始。

目尻に何とも言えない笑い皺を刻んだまま、コントのような騒動を見舞っていた男がもう一人。

ニマニマと零れそうな笑みを浮かべてるくせに、それが漏れないようにキュっと口を噤っていた彼は、とうとう我慢が出来なくなったように笑い声をあげた。

 

「すんげぇうちらしい解決法だよな!サッキーかわいそ~」

 

椅子から転げ落ちそうな勢いで笑い出す雄輔に対し、ミソノは一瞬空を仰いでから呆れた溜息を洩らした。

 

「あんな、なに他人事みたいなこと言ってんの!雄輔のことで皆ワタワタしてるんだからね!」

 

病弱で外出もままならないはずの黄の国のお姫様。

 

その正体は、健康優良児そのものの、この男だったのだ☆

 

 

 

つづく

 

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

 

というわけで、水曜7時のお楽しみ再びです。

 

待ってるだけの時間も同じように流れるのなら、妄想しながら楽しく待つことに致しました。

 

本当は別にもっとシビアな話を書こうとしてたんですけどね、野久保さんが迂闊に故郷に帰られたので設定に穴が開きました☆

 

ちょっとアラが目立つお話ですが、少しお付き合いくださいませ~♪