『お台場戦隊ヘキサレンジャー~最終章~』34 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

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しばらくして、濱田から雄輔の基へ連絡が入った。

千穐楽を無事に終えたから、そのお祝いをしてください、と。


予算内で盛大にお祝いするよ(^∇^)と返事をしながら、雄輔はメールの字ずらほど晴れやかな気持ちになれないでいた。

大海に彼の身辺を洗ってもらったが、案の定、当たり障りのないことしか出てこない。

大阪の出身であること、高校卒業後役者になりたくて上京してきたこと、バイトを転々としながらここまできたこと。

疑うべき個所はないが決定打に欠ける履歴は、白とも黒とも言えず仕舞いになっていた。

いっそ大海にもっと深いところまで入って貰えば何か出てくるかもしれないが、現時点でそこまでさせるのはマズいだろう。

正義の味方とはいえ、何でも超法規的処置を許されてるわけではないのだから。


「証拠を残さないで探りを入れることくらいできますよ?」


けっこうなマジな顔で言われて、雄輔のほうが苦笑する。

みんなそれぞれに逞しくなったもんだ。

時間が経てば、その間に人は何かしらの経験を積む。

経験は人の糧となり成長させ、人を変えていく。


直樹も、この離れてしまった間に変わっていってしまったのだろうか。

それもと思い出のままに微笑んでくれるだろうか?


そんな感慨に捕らわれていると、携帯がけたたましく鳴り響いた。

濱田からだ。

簡単な時間と待ち合わせ場所が書かれたメール。

それを、横から大海と剛士が覗き見してる。


「なに?一緒に来たいの?」

「そんなヤボなことはしねーよ。ただ約束の時間を俺らも把握しておこうと思ってさ」

「濱田さん、ユウスケくんのこと何も知らないんでしょう?だったら猶更僕らが覚えておかないと」


それぞれに濱田との待ち合わせの内容を、メモに取ったり携帯に記憶させたりしている。

来る気もないのに、こんなことをする意味が分からない。


「なんでお前らが覚えておく必要あるわけ??」

「だって、放っておいたら雄輔、平気で一時間も遅刻していくだろう?

俺らはお前の悪癖を知ってるから良いけどさ、普通の人だったらすっぽかされたって怒るぜ?」

「そうですよ、僕らがちゃんと覚えておいてユウスケくんを間に合う時間に送り出さないと、濱田さんに迷惑がかかります」

「サッキー、間に合うだけの時間じゃ駄目だ。雄輔は絶対に道中で関係ないことに引っかかる」

「そうですね、それも計算に入れて早めに追い出さないと・・・」


うんうんと頷き合いながら、どのくらいの余裕を持たせて基地から送り出せばよいかと真剣に話し合っている。

渦中の雄輔をほっぽりだして。


「ちょっと!俺だって初対面に近い人との約束くらい、キチンと守るよ!!」

「いや、お前の問題点は、約束通りに行くつもりなのに結果として大遅刻していることだ」

「僕らが完璧なエスコートコースを用意しますから、ユウスケくんは黙っていて下さい」


お、俺だって成長してるのに~~~。

雄輔の憤慨気味の訴えは、全く二人の耳に届かずに却下されたのであった。


成長してるなら、そうと認められるような行動で示さないとね、雄ちゃん♪




続く