『お台場戦隊ヘキサレンジャー~最終章~』31 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

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「ああ、ココなら話に聞いたことはありますよ。僕はまだ観に行ったことはないですけど」


直樹に良く似た男からもらったチケットを大海に見せると、意外な答えが返ってきた。

どうやらチケットに印字された劇団名に見覚えがあるらしい。


「ちょっと前から急に人気の出てきたユニットで、けっこうなハイペースで上演してるんですよ。

え~~と、フライヤーとかあったかなぁ?」


女性に人気の劇団だから男だけで観に行ったら浮くかもしれないですけど、と注釈を付けながら大海は束になったチラシを一枚一枚めくっていった。

それにしても、こんなに『劇団』と呼ばれるものが多いとは、雄輔には思いもよらなかった。

世界で一番劇団数が多い都市が東京だというのも、不思議な気がするが。


「あったあった。この演目で間違いないですね」


黒いシャツに黒ネクタイと揃えた男たちが、わざとなのか表情を消した厳しい顔で並んでいる。

後ろに五人が立ち並び、前列三人が椅子に腰かけているが、その中央に座っている男が濱田だった。


ん?ってことは、あいつ主役なのか?


「言われてみれば、野久保さんに似ていますね。こんな険しい顔、見たことないから気が付きもしなかった・・・」


こうして写真にしてしまうと、なおさら直樹から懸け離れた印象を与える。

裏面には一人ずつの顔写真が載っていて、そちらのほうがまだ似ているように思えるが、それでもこれが直樹かと言われたら違和感を感じる範疇だ。


「僕が連れて行ってもらっても良いんですか?なんならつるのさんとご一緒の方が・・・」

「だって可愛い子ちゃん連れてくって約束しちゃったんだもん♪

つーさんじゃ、どう贔屓目に見ても「可愛い」じゃないだろ?」


可愛いところもあると思うけどなぁ、と密かに大海は思ったがそれは口に出さなかった。

だって雄輔が知らない剛士を知っているなんて、ちょっと優越感が持てるじゃないか。

ビビって腰が引けてるときとか、体力尽きて息が上がってるとことか、けっこう可愛いんだけどな♪( ´艸`)


「・・・と言うか、ユウスケくん(←さん付け禁止令発動中)まで僕のことを可愛いって言うの、止めて下さいむかっ


なんのこと?と本気で心当たりのない顔で雄輔が首を傾げる。

そう、雄輔の『可愛い』に悪気も下心もないのだ、純粋に見たまんまで言っているだけなのだから。(←なおタチが悪い)



んで、



二人で観劇に行く、と言ったら、案の定剛士にいじけられた。

壁に向かって膝を抱えてイジイジと拗ねているのを必死に大海が宥めてる。

なんでサッキーはあんな手のかかるオヤジが良いんだろう?と雄輔は半ば面倒臭くなりながら眺めていた。


「いーです、いーんですよ、若い二人で舞台でもなんでも観に行けばいいでしょ(。´_`)=з」

「そんなこと言わないで下さいよ。調べたら当日券も出る日みたいですから、僕が先に行って手配しておきましょうか?」

「あ、サッキー、それ駄目よ。何が起こるか分からないから、二人が外出するならつるのは基地で待機ね」

「たいしょ~~~!!あせる

「決まりだな、サッキー。うまいもんでも食ってから行こうぜ?にひひ


ジロっと恨めしそうな目で剛士に睨まれたが、そんなの構うこっちゃない。

たまにはマスコットボーイの大海をこっちに貸してくれても良いだろう。


それに、まだあの男を剛士に見せるのには躊躇いがあった。


雄輔と同じように直樹の行方を案じていた剛士だ。

普段はその感情を表に出さない分、秘めている想いは強い。

あの、直樹と瓜二つの男を見て、剛士も冷静でいてくれるだろうか?


チケットを渡してくれたときの、彼の顔を思い出す。

記憶の中で再生させるたびに、最初に会った時よりも直樹に似ているように思えてならない。


とりあえずはじっくり見極めて来るか。


チケットに刻まれた演目名。

妙に暗示的なタイトルだと思ったのは、気にしすぎなだけだろうか・・・・。





続く