『お台場戦隊ヘキサレンジャー~最終章~』29 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

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ご注意下さい!!私のブログは『愛』と『毒舌』と『突っ込み』と『妄想』で出来上がってます!!記事を読む前に覚悟を決めてくださいね(^^;。よろしくお願いします☆


基本、剛士は大海に甘いが、他の連中だって最年少にはそれなりに甘い。

もっと言えば、ここの男連中は、女性がいろいろ厳しい分、物事の対処がどこか甘い。


出動中に変身を解いて拉致された、なんて失態をやらかした大海に、

『疲れているだろうから、詳しい説明と始末書は明日にして今日は早く休みなさい。』

という対応なのだ☆


これが国営の機関だったら、今ごろ市民からクレームが山ほど来るところだろう。


大海も悪いと思いながら、先輩方のご厚意に甘えることにした。

最近になってやっと、彼も素直に甘えるということが出来るようになった。

それだって進歩だ、だけど。


「疲れているところ悪いんだけど、ちょっと俺の部屋に来てくれるか?」


剛士の言いつけに、大海はすぐに伺いますと返事をした。

彼がどれほど心配し、そして怒っているか分かっていたし、曖昧にしたままよりも早めに何かしらの結論を下された方が良い。

叱責されることも覚悟して、大海は剛士の部屋へ向かった。


部屋で待っていた剛士は予想をしていたような尖った空気を発しておらず、むしろ穏やかに落ち着いた物腰で居てくれた。

そっと懐へ迎え入れてくれるような、そんな暖かい温もりすら覚える安堵の空気だった。


「災難だったな」


緊張気味だった大海の顔を見た彼は、ほんの少し目尻を下げて柔らかく彼を手招いた。

その優しさが嬉しくて、同時に申し訳なくて、浮かべた笑みがどうしても切なくなってしまう。


「僕、髪を思いきって短くしようかな。そうすれば女の子と間違えられたりは・・・」


伸ばされた腕にあの星の刺青が見えたと思ったのは一瞬で、気が付いたときには彼の腕の中に治まっていた。

じわり、と剛士の熱が伝播する。

きつく抱き寄せられた居心地の良さにうっとりと瞼を閉じて身体を預けると、彼は強く強く守るように大海のことを抱き締めた。


「つるのさん・・・」

「もういい、向こうであったことは全部忘れろ。悪い夢でも見てたと思えば良い。

それでも、どうしても消せないって言うから、俺が・・・!」


耳元に注がれた言葉は、泣きそうな熱で震えていた。

何事かと彼の面(おもて)を見上げると、さらに震えている瞳に捕らわれる。

こんな、切ない色を見せたことなんてないのに・・・。


そっと、頬に彼の指が、なんでも器用にこなす指先が絡められた。

その甘い感触に酔っていると、彼の精悍に固まった顔が覆い被さるように降りてくる。

それは、まるで恋人にキスを強請るような熱と甘さに塗れていて・・・・。





「って、何するんですかーーーーーっっっ!!!!」




河井武士も真っ青のジェットアッパー(from『リングにかけろ!』)が、剛士の顎にクリーンヒットした☆

せっかくのムード満点なところに、不意打ちのようなアッパーカットを食らった剛士さんは容赦なく吹っ飛ぶ。

そりゃ、一昔前のアニメさながらに。


「ひ、ひどい!!ボキは傷心のサッキーを慰めようと・・・!」

「誰が傷心なんですかっ?!そりゃ、敵の罠にまんまと嵌ったことは反省してますが、キスを迫られる意味が分かりません!!」

「だ、だって、テラに慰みモノにされたんだろぉ?!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「そんなワケあるかい!!!爆弾爆弾爆弾




大人しい人間こそ、本気で怒らすと怖いものである。

この後剛士がどんな反撃を受けたかは、彼のプライドと沽券に関わるので伏せておこう。






数日後。


「あれ?サッキー、随分と髪型をすっきりさせたな」

「ええ、内輪にもちょっとおかしな人が居たもんですからむかっ


髪をベリーショートにしてしまった大海、を、壁に隠れながらこっそり覗き見していた剛士の後ろ姿。

彼の尻尾が完全に内股に巻き込まれているように(怯えた子犬仕様)見えたのは、決して雄輔の気のせいではない。

よく聞き耳をたてれば、「キュ~~ンしょぼん」と鳴き声を漏らしていたことだろう。


そんなわけで、今日もサッキーが最強です。






続く