以下の文面はフィクションです。実在する人物、団体、組織等とは一切関係がございません。
似てる人が居ても、それは偶然の産物です。
妄想と現実を混同しないように気をつけましょう。
ちなみに、今回は(やっぱり)基本がBLです。
苦手な人は避けてくださいm( _ _ ;)ドウモスミマセン
しょせん素人が書いてるモノなので、過剰の期待はしないで下さいね~~。
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事件は会議室で起きてるんじゃない、結婚式場で起きてるんだ!
・・・、訂正。
結婚式場ではなく、その後の結婚披露宴会場で起こったのである。
雄輔がなんやかやと横槍を入れている間にも、塩沢と輝の結婚話はつつがなく進み、最終的には店の連中が揃って披露宴に呼ばれる事態になっていた。
なんでオレたちまで?と雄輔が聞くと、そうでもしないと新郎と新婦の参列客のバランスが取れないという、とても単純明快な返答が帰ってきた。
どんだけなんだろうと、当日になって座席表を確認してみると、新郎側にはどえらい肩書のおっさんが大挙して来てる。
数のバランスは取れても、格のバランスは無理だな、と剛士さんはこっそりと思った。
華やか、かつ、定番な披露宴はそれなりにいいムードで進んでいた。
人前でさらし者になるのが苦手な輝も、無難に笑顔を振りまいてこの茶番に付き合っている。
塩沢の仕事関係の人間が多く来ているのだから、半分は仕事のつもりなのだろう。
ああ、全然面白くねぇ!
分かりやすく仏頂面の雄輔に、直樹はハラハラし通しだったことは書くまでもあるまい。
それでもなんとか雄輔が爆発することもなく、披露宴は最初の山場のお色直しに入った。
ここは場繋ぎで剛士とバンド仲間が生演奏することになっている。
主役が退席し音楽が鳴ると、少しだけ会場の緊張感が緩んだ。
談笑の声が大きくなるテーブルや、席を離れる人間も目立つ。
演奏をしてくれてる剛士には悪いが、いったん小休憩みたいなゾーンでもあった。
しかし。
「申し訳ありません、少しよろしいですか?」
ただの会場係には見えない式場の人間が、雄輔たちのテーブルにやって来た。
その男に導かれて、一同で会場から離れて裏手へと案内される。
何か臨時で余興でもやれと頼まれるのかと思ったのだが・・・。
「やあ、御揃いで悪いね」
案内された部屋には塩沢が待っていた。
気障にも薄紫のタキシードを着ている。
これがお色直しの衣装なのだろう。
「何の御用ですか?」
雄輔が余計なことを言い出す前に直樹が塩沢に問いかけた。
それでも少しだけ警戒の色が滲んでしまった直樹の口調に、塩沢は嬉しそうな笑みを浮かべた。
敬遠されてるのを楽しんでいるみたいで、この人の思考回路の続きを理解するのはとても難解である。
「困ったことが起きてね、力を貸してもらえないかと思って」
「珍しいですね、塩沢さんが助けを求めるなんて」
「そりゃ、今は手段を選んでられないから。一刻も早く事態を打開しないと」
湧いてくる笑いが止められないように、塩沢は始終クスクスと笑っていた。
頼むからそんな笑い方で雄輔を刺激しないでくれ、と願う直樹の心中なんて知る由もないくらいに愉快そうに笑い続けている。
「いったい何が・・・」
「輝が控室から消えたんだ。悪いけど君らで捜索してくれないかな?」
・・・・・・。
「な、なんですって????!!!!」
「ほら、やっぱり輝さんもこいつと結婚なんかしたく無かったんだよ!」
「雄ちゃん!言って良いことと悪いことがあるでしょ!!」
「だってさぁ!!」
「ゆーすけもなおたんも、喧嘩は後だよっ!」
「え、でもどーすんのぉ?輝さん探さないとまずいよね??」
「探さなくて良い!輝さんの好きにさせとけ!」
「ゆーちゃんっっっ!!事件とかだったらどーするの!!」
ギャーギャーと団子になって騒ぎ立てる一同を、塩沢は笑いを堪えたりせずに眺めていた。
どんな結末になっても構わないというような、妙な余裕をたっぷりと滲ませながら。
「ちょっと待って、サキモンが居なくない??」
あ、と一斉に口を噤んで互いの顔を確認する。
確かに、一緒のテーブルに居たはずの崎本が居ない。
いったい、いつから・・・?
「ねえ、まさかと思うけど、サキモンが輝さんを攫いに行ったんじゃないの?」
ふいに少女の口から出た言葉に、直樹の顔色が怪訝に陰った。
「なんで、崎本くん?」
「あ、なおたんはあの時居なかったんだっけ。
ゆーすけがサキモンに結婚式のときに輝さんを攫って逃げろって言ってたから・・・」
「ゆ、ゆーちゃん!!あの子にまでそんな馬鹿な話をしてたの!?」
「だって、あのまま流れたから、無しになってると思ったんだもん!!」
怒るを通り越して頭に響く鈍痛に、直樹はフラつきそうになった。
耐えられなくなったのか、被害者(?)であるはずの新郎塩沢が爆笑してる。
バイトのお嬢たちからの、どーすんのぉと冷たい視線が突き刺さって痛い。
そうですね、原因を作ったのはオレですね!
「ユキナ、つーのさんとこに行って演奏を引き延ばして時間を稼いでもらえ。
ただし間違ってもレイニーブルーとかMとかさよならの向こう側とか歌うんじゃねーぞっ釘刺しておけ。
あのオヤジ、乗ると気分で何歌いだすかわかねーかんな。
まいとスーは、トイレとか女でないと探せないとこ、建物の中を中心に探して。
オレとノックは外周りを探す。ユキナ、つーのさんに伝令すんだらサッキーの携帯に連絡入れといて」
これで崎本が関係なかったら大事だな。
その一抹の不安はあえて考えないようにした。
「じゃ、すぐに動くぞ!」
正装したままの若者たちが、特殊部隊のような面持ちで部屋から飛び出していく。
本当に退屈しない子たちだな~~と、塩沢はずっと笑っていた。
そしてその横には。
この式場の支配人が、苦虫を噛み切ったような顔をして立ち尽くしていたのであった。
続く