この物語はフィクションです。
実在する人物・団体・会社法人等とは一切関係ありません。
脳内の妄想産物と重々ご理解の上、お読み進め下さいませ。
いくら似てても気の迷いです!
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『現状(イマ)』じゃない次へ行くには、それなりの覚悟や後押しがないと踏み出すことは出来ない。
憧れや夢はぼんやりといつも抱いていた。
でも動き出すきっかけの端は、全て雄輔が握っていたのかも知れない。
「雄ちゃんは、誰といても何処にいても変わらずに雄ちゃんだったから」
すごく悔しかったんだよ、お日様みたいな笑顔を独り占めに出来ない事実に気が付いたときは。
「ボクの知らない雄ちゃんが沢山いるように、雄ちゃんの知らないボクも居るんだよって、そんなのを見せ付けたかったんだ。
雄ちゃんの知らないことを、雄ちゃんの知らない人たちと一緒に取り組んでいるんだって。
そんな『雄ちゃんの知らないボク』を見せて驚かせたくって、ずっと秘密にしてた」
言われている意味がイマイチ掴み切れ無いらしく、雄輔は眉根に力の篭った顔になって直樹を見上げている。
分かってもらえないんだろうな、この心の広すぎる人には。
独占欲とか嫉妬とか、そうゆう負に属する感情なんて。
ボクも雄ちゃんの歴代の彼女達と一緒。みんなに平等に優しい雄ちゃんに悲しくなってしまっただけ。
「それとね、なかなか雄ちゃんには言い出せなかった理由がもうひとつあるの。
ボクが劇団作るって言ったら、『よし、分かった。応援してるから頑張って行って来い!』って簡単に送り出されたらどうしようって不安だったの。
雄ちゃん、優しいからいつでも誰の夢でも応援してくれるでしょ?
誰かがしたいことを邪魔しないで送り出してあげるでしょ?
彼女だった人だって、出て行くときは無理に引き止めないで好きにさせてあげてた。
だから、あっさり『じゃぁね』って手を離されたらどうしようって。本当は恐かったんだ」
ふっ・・・と力が抜けたように直樹が微笑む。
寂しげだった、今までのどんなときよりも。
「ノック・・・」
「あんな風に駄々こねて引きとめようとしてくれて、すごく嬉しかった・・・」
必要だって言ってくれて、傍に居てほしいって言ってくれてありがとう。
でももう、そんな好意に甘えてるだけの時代から卒業しなくちゃ駄目なんだよね。
「ボクもさ、これからも変わらずにずっと雄ちゃんたちとバカやって騒いで、楽しく暮らしたい。
だけどそれだけじゃ駄目なんだ。ちゃんと次を見据えて、自分の足で進んでいかなくちゃ。
不安と期待はいつだって裏表一体だけど、でも、恐れずにその先の希望に手を伸ばしたい。
大好きな雄ちゃんに、いつだって全力で生きてるよって胸張って言える自分で居たいんだ」
君が誇れる友人で居たい。
そのために一番近い場所を譲ることになったとしても、惰性で愛されてるよりよっぽどマシだ。
ボクを見つける君の笑顔が、いつだって最高に輝くような相手でいたいから。
「・・・そっか、分かった」
見詰め返す雄輔の顔は、決して納得しているようには見えなかった。
だけど面映い笑みを湛えて、彼の抱えてる柔らかい優しさが滲んで直樹の心にも伝わってきて。
こんなふうに思い合えるようになるなんて、出会った頃は考えてもいなかったね・・・。
「オレ、そろそろバイトに行かねーとだわ」
「送るよ」
雄輔の言葉に被るくらいの即答。
そんな前のめりな直樹の申し出を嬉しく思いながらも、雄輔は大丈夫、と手を翳した。
「逆の方向だし、もうすぐソコだから」
それじゃあ、とお互いに手を振る。
いつでも会える二人、何も悲しむことはない。
だけどきっと『それぞれ』の道を見詰め始めたら、彼を思い出す時間が削られる。
彼と一緒に泣いたり笑ったりしてた当たり前の時間が、懐かしい思い出の中に仕舞われてしまう。
でも、きっと。
振り返ると、同じようなタイミングで直樹もこちらを振り返った。
小さくなった顔が苦笑して歪んでる。
力一杯両手を振ると、向こうも自転車を押さえる手を離して手を振り返してくれた。
思い出すたびに、久し振りに顔を会わすたびに、この感情は色褪せずに心に満ちるだろう。
どんなに君が大好きだったか、君がどんなに自分を好きでいてくれたか。
嬉しくって笑ってしまうくらいの喜びに溺れてしまうことだろう。
多分、みんな少しずつ変わっていく。
変わっていく君も好きだし、どんなに変わっても君を好きだという気持ちは変わらない。
だからせめて、君に好きでいてもらえるだけの自分で居るように努力するよ。
誰よりも君に、頑張ったねって褒めてもらいたいから。
「ノックーー!」
なに?と耳に手をあてるベタな仕草。
その型どおりなあたりがすごく好き。
「締まっていくぞーーっ!!」
「・・・、おおーーーっ!!」
ピースサインとガッツポーズを交換して、笑いながらバイバイって手を振った。
いつだって、君はいる。
耳を澄ませば、君の声が聞こえてくる。
目を閉じれば、君の笑顔が励ましてくれる。
何も寂しくないよ。
オレの会えない時も傍に居る人に、ちょっとだけ嫉妬しちゃうけど。
そのぶん、次に会ったときは最高の笑顔をくれるんでしょ?
約束、だよ?
Ending Theme Song
『自転車 』
(作詞・作曲・歌 WaT)
終わり
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
後書きは長くなったので、また別記事で上げます。
ではまた~~。