『自転車』 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

逢海司の「明日に向かって撃て!」

ご注意下さい!!私のブログは『愛』と『毒舌』と『突っ込み』と『妄想』で出来上がってます!!記事を読む前に覚悟を決めてくださいね(^^;。よろしくお願いします☆

この物語はフィクションです。
実在する人物・団体・会社法人等とは一切関係ありません。
脳内の妄想産物と重々ご理解の上、お読み進め下さいませ。
いくら似てても気の迷いです!

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「もう、信じられない!!」


彼女が怒りを露わに金切り声で叫んだ、その経緯が雄輔には理解できない。

なんで怒ってんだ?何が気に喰わないんだ?

全く心当たりがなさそうな雄輔の態度は、尚更彼女の怒りを逆撫でした。


「なんで雄輔の部屋に他のオンナの歯ブラシが置いてあるの?」

「それはこの前ミドリが置いてったんだよ。オレの使うのはヤだって」

「なんでそんなこと許すわけ?雄輔の彼女って私だよね?」

「イマサラ何言ってんだよ。ミドリはただの友達だし、彼女はお前一人に決まってんじゃん。

イチイチ変なところで突っかかるなよ」


眩暈を覚えたのは、雄輔が能天気すぎるからなのか、怒りで極度の血が頭に上ったからなのか。

おそらく、これ以上は何を説いても無駄だろう。

彼女と友達は、それぞれ大事だけど別。彼の意識下ではちゃんと区別されている。

しかしその対応は、常識的に考えられる『それぞれ』の立場に見合っているのだろうか?


「・・・、もう良い。今までいろいろ我慢してきたけど、もう限界。

雄輔が友達を大事にするのは良いことだけど、そんなんじゃアンタの彼女なんてやってらんない」

「はあ?ちょっと葵、何言ってんの?」

「わるいけど、もっと心の広い女性を探してくれる?私はこれ以上は付き合いきれないわ」


いつだっていつだって、目の前にいる人に一番の好意を示してしまう雄輔。

その分け隔て無い優しさが好きになったんだけど、恋人がいてもお構いなしに分け隔て無い『好き♪』をばら撒かれるとは思ってなかった。

彼の特別になりたかったのに、お飾りの肩書きだけ貰ったって虚しいだけ。

もっとちゃんと、こっちを私だけを見て欲しかったのに・・・。


「じゃね雄輔。短い間だったけど良い勉強になったわ」

「だから、意味が分かんねーって言ってんじゃん!!」

「おっはよ~~、雄ちゃん迎えにきたよ~~・・・、って、あれ?(o^冖^o;)」


間が悪い男というのは、とことん間が悪いらしい。

そうと知らずに修羅場にひょっこりと顔を出してしまった直樹は、場の空気の寒さにそのまま凍ってしまった。


「なおくん!わたし、なおくんとはこのまま友達でいたいから、気にしないで連絡ちょうだい。

それと、たった今雄輔とは別れたから、良い男がいたら紹介してね。よろしく!!」
「へ?あ、うん。それは構わないけど・・・」
「そう、良かった♪それじゃ、雄輔のこと後はお願いね (=^▽^=) 」


最後に雄輔に積年の恨みが積もった視線で睨みつけると、彼女は颯爽とその部屋を後にした。

残ったのは、この展開にイマイチ付いていけてなかった男が二人・・・。


「雄ちゃん、葵さんのこと追いかけなくて良いの?別れるとかなんとか叫んでたけど・・・」

「今は頭に血が上ってるから何言っても無駄だよ。落ち着いたら戻ってくるって」


それで戻ってきた奇特な女性は、今まで一人も居なかったじゃない (-ω-;)

振られた理由すら分かってない雄輔にそんなことを進言するのは可哀想なので、直樹は口元まで出かかった言葉をコクンと飲み込んだ。


雄輔に愛想をつかして出て行った彼女(たち)の気持ちも分からなくは無い。

雄輔は、非常に友達や周りの人間に優しい。

とても気を使ってくれるし、自分がどんなに大変だって困っている友人を優先してくれる。

人に優しくすること、は、雄輔には当然のことなのだ。


だから、雄輔の恋人になれた女の子達はちょっと期待しちゃう。

ただの友達だったときでさえ雄輔はあんなに優しく親切にしてくれた。

恋人になったらどれだけ大事にしてくれるんだろうって。


残念だけど、女の子たちの可愛らしい夢がすぐさま打ち砕かれる事を直樹は知っていた。

雄輔は誰にでも優しい。

恋人だからってさらに優しくするっていうのではなく、誰に対してもそのときの最上の優しさと思い遣りを持って接しているのだ。

むしろ、『恋人』なんて身内になってしまったほうが、扱いが御座なりになってしまったりもする。

そうして期待に敗れて雄輔の元を去った女の子を、たったの数年で何人見たことか。


「雄ちゃんって、根本的に恋人に向いてないんだよねぇ(*´Д`)=з 」

「なーにー?恋人をつくろうともしないノックにそんなこと言われたくないですっ!」


実際問題、直樹も自分時間を大事にする人なので、女の子にしてみたら付き合いにくいところがある。

きっと剛士さんが見ていたら、お前ら同じアナの貉だ、と言っただろう。


「っと、そうだ、早く剛にぃの手伝いにいかないと☆」

「お、忘れてた。ノク、車出してくれるんでしょ?」

「そのつもりでボクに迎えに来いっていったんでしょーが」

「いーからいーから、ほら、行くぞ☆」


今さっき恋人と破局したとは思えないにこやかな笑顔で、雄輔は直樹の背中を押してせっついた。

顔くらい洗ったのかな?という直樹の疑問は声にもならずに紛れて消えた。

注意したところで、彼がこのままで問題ないじゃん、と言い切る姿が容易く想像できたからだ。


ライブハウスに着くと、剛士が一人で楽器のセッティングを初めているところだった。

独特の狭くてごちゃっとした空間が、直樹も雄輔も気に入ってる。

なにか、閉じ込めらたエネルギーみたいなものがギュッと濃縮してるようで、これから始まること全てが未知に輝いているように感じるのだ。


「悪いね~、手伝い頼んじゃって」

「気にしないでよ、けっこうボクもこの作業好きだし♪」

「そいじゃあさ、直樹は照明と音響のほうを見てくれる?雄輔は楽器とアンプの接続」
「いつものとーりでいいんだろ?バンドのメンバーは?」

「ギリギリまで手売りでチケット裁いてる。一人でも多くに入ってもらわんと厳しいから」


それじゃ、と二人は分かれて指示されたとおりに動き出した。

剛士のバンドがライブハウスを使うときにはいつも手伝いに狩り出されるので慣れたものだ。

自分達が微力ながらもアニキの役に立てるというのは、雄輔や直樹にとっても嬉しいことなのである。


内輪贔屓を差し引いても、剛士のバンドは格好いいし本物だと思う。

それでもこんなライブハウスで演奏するのが精一杯なのだから、現実って厳しい。

いや、自分の夢を叶えるための一歩を、常に踏み出そうとしてる剛士はまだマシだ。

なんとなくぼんやりと、行きたい方向だけを見据えて手を拱いている今の雄輔や直樹など、このまま何も変わらずに終ってしまうかもしれない。


変えるためには自分が変わらなくてはいけない。

そしてその決断をする時期が来ている事を、二人とも薄々感づいていたのだった。




つづく



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こんばんは、ノープランつかさです。


(自慢にならへんがな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ)


書きたいシーンを最初に書くからあとで困るんだよな。


予定としては隔日(偶数日に更新)連載になるつもりです。


気長にお待ち下さい、文句は受け付けません。


ちなみに、一番の山場をすでに出してしまったので、後は尻窄みになるでしょう。


(自慢にならへんがな Σ┓( ̄口 ̄ )オイ!)