記録的な夏の酷暑の後遺症で、頭沸騰中で~~す♪
イカレタ話を書いてますが、秋の夜長の幻と笑って許して頂ければ幸い。
いや、笑って許してくれ・・・。
石を投げつけたりカミソリを送ったりしないでくれ・・・。
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ズイは本気だった。
翌日には正式にナオを借りたいとオファーをかけてきたのだ。
快諾するには急すぎる申し出だが、考慮する余地はある。
会社的には決定するまでに猶予をもらう形で保留とした。
業務的な問題がいくつかある。
だが移籍というわけでもなく、期限も決まっている内容なので、組織的には前向きに捕らえていた。
当人とそれを取り巻く人間の感情だけを置き去りにして。
「何を考えているんだ?いや、どうしてナオなんだ?」
一番に過剰反応するだろうと思っていたショウに掴った。
積極的にナオに仕事を任せているようだが、実際は彼女に対してかなりの過保護な男だ。
行き成り海外に連れ出すと言っても納得してくれないだろう。
「どうしてもこうしても、海外で何ヶ月か一緒に過ごすんだよ?
女性同士のほうがいろいろと問題ないだろーが☆」
当たり前のことを聞かないでよ、とズイは苦笑交じりに答えたがショウはそんな答えでは満足しなかった。
「それだけじゃないだろう?俺まで煙に巻くのは止めてくれ」
鋭いクリアな眼差しが射止めるように差し込んで来る。
ま、どっちかだろうと予想はしていた。
しつこく引き止めるか、大人なふりであっさり許すか。
両極の答えしか、彼からは得られないような気がしていた。
「そこまで言うならショウもわかってんじゃないの?
このままじゃナオが可哀想だから、一度外に逃がしてあげようと思ってんの」
「可哀想?昔の男が忘れられないだけだろう?」
「バーカ、そんなんだったらナオ自身に自分でケリ付けろっ言うよ。
可哀想の原因はあんただよ、ショウ。
黙って距離を置いてるくせに、意味ありげな熱視線を向けてみたりしてさ。
責めるんならはっきり責めて、ナオをモノにするか玉砕するかはっきりすりゃーいーじゃん。
紳士ぶって値踏みするみたいに眺められてるなんて、居た堪れないに決まってんだろ?」
ぐっとショウが息を飲み込んだ。
恐らく今ショウが動いたとしてもナオは受け入れない。
分かっていても押し切るくらいの気迫がなくちゃ、あんな堅物はいつまでも難攻不落のままだ。
昔の男が忘れられないというのも本当だろう。
だったらそこから解き放ってやるのも、これからの相手の役目ではないだろうか?
「ナオが臆病になっているのも認めるけどさ、それに乗っかっちゃったら何も変わんないよ。
本当にアノ子を思ってんなら、一緒にもう一度傷付くくらいの覚悟がなくちゃね。
その決意が固まるまで、あたしがナオを預かるよ( ̄ー ̄)フフン」
それじゃね、と言葉を無くして固まるショウに軽やかに手を振って、ズイはその場を後にした。
これだけ発破を掛ければ、いくらショウでも何かしら動きを見せるだろう。
結果が良好な方向に転ぶ可能性は低いが、今のままでは何の進展も望めない。
「さ~~て、こっちはこれでOKっと♪
劇的な展開にはあと一押しってとこだな」
沸いてくる笑いに思わず顔を緩めながら、ズイは指定された場所へと急いだ。
これはきっと偶然なんかじゃない、必然のために用意されたワンステップだ。
駆け出す足取りも軽やかな彼女の顔には、悪巧みとしか言えないような笑みが溢れていた・・・。
続く