本気にするなよ!(`・ω・´)
◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆
「崎本さんですよね」
突然声をかけられて慌てて振り返る。
そこには見覚えのある少年が佇んでいた。
いや、少年と呼ぶのは失礼か。
恐らく実年齢は自分とそう変わるまい。
彼の明るい無垢な雰囲気が、稚けなく見せるのだ。
彼はキラキラな笑みを浮かべて、やや困惑気味の崎本のことを眺めていた。
「君は…」
「初めまして、早田剛です」
あっ!と声を上げそうになるのをなんとか堪えた。
直樹が弟のように可愛がっている、あの舞台の共演者だ。
「ノク兄さんから崎本さんのお話はいろいろ聞いてます。
本当に王子さまみたいに綺麗なんですね!」
「そんなことないけど…」
やや人見知りの気がある崎本は、彼の人懐こい笑顔に躊躇した。
そんな中でふと疑問が湧き上がる。
果たして直樹が自分のことなど、今の仲間たち語るだろうかと…。
「野久保さんはお元気ですか?」
当たり障りない崎本からの問い掛けに、彼は口元をきゅるっと綻ばせて独特の笑みを浮かべる。
待ってました、とその笑顔が語っているような溌剌としたモノだった。
「すごく元気にしてますよ。
この前なんて1ポンドもあるハンバーグをぺろって食べちゃって。
僕の分まで狙ってたんだから、すごい食欲ですよね。
そうそう、どうしたんだか謎なんですけど、帰りの電車の中でリーダーの翔さんとノク兄さんのネックレスが絡んじゃったんです。
二人ともすごく仲良しなんですけど、まさに切っても切れない二人の絆みたいでした♪」
なかなか会えない直樹の近況を教えてもらいながら、崎本は何か胸の奥にチリチリとした違和感が沸いてくるのを感じた。
彼の満足げな笑顔の裏に、何かの意図が含まれているようにすら見えたのだ。
続く