あまりに突拍子もないことを言い出すので、オレがどゆこと?と聞き返すとあいつはクスクス笑いながらこう言った。
「他の人が一緒にいたらその人の動きとか気にして、客観視する気持ちの余裕、と言うか、気構えが生まれるタイプ。
かえって一人のときのほうががむしゃらに成りすぎて、事態が見えてないときがあるかもよ?」
その説明に納得出来るような出来ないようなウズウズした気分でいたら、そうっと手を離された。
「はい、今日のレッスンはここまで。次回までに自主練習してくるように」
「あのさ、ノクの言ってることは…」
「あー、お腹すいちゃった!早くご飯にしよう」
オレの言葉を遮って、あいつはキッチンに逃げて行く。
それ以上、言葉に隠した意味を探らないでって言ってるみたいだ。
「美味しいモノ作るから、少し待っててね。雄ちゃん、この前も変なの作ってお腹壊したでしょ~」
少しばかり偉そうな口振り。
当たってるし、飯も作ってもらうから文句も言えないんだけど。
「あまり、心配させないでよ」
バカ、そりゃこっちの台詞だ、やっぱり言わなきゃいけないことが沢山ある。
飯を食ってお腹いっぱいになったら今まで黙って我慢してたこと、全部聞いて話すから、だから早くご飯にしてよ。
手を離したつもりで安心してたら、大間違いだからな。
そう簡単に逃がさねーから覚悟しとけ☆
終わり