平日の昼間でも真夜中の様な静けさ。
いやそれ以上だ。
全ての店と会社が強制的に営業停止となり、
街の清掃員も居ない為、
カラスだけが忙しそうにゴミを漁っている。
まるでゾンビ映画さながらの
ゴーストタウンと化した大都市深圳。
写真は日本でいう所の都心の幹線道路だ。
普段は毎日超渋滞でまったく動かないエリア。
そんなコロナ初期のピーク時期も過ぎ、
落ち着きを見せてきた今日この頃。
2021年6月。
出入国規制は未だかなり厳しい中、
season1第一話の撮影を兼ねて
私は日本へ一時帰国する事にした。
父の容体も気にかかる。
コロナの影響で
深圳からの直航便が飛ばない。
普段は香港空港からLCCが飛んでいる為、
深圳の駐在員達は、
香港空港まで電車とバスを乗り継ぎ、
安い直航便で日本に帰る人も多い。
このルートも視野に入れて
お得意の仮説検証が始まる。
勿論普段使っていて勝手が分かっている
香港空間からのLCCに乗れたら最高だ。
だがコロナ禍ではそんなに条件は甘く無かった。
普段通り香港に入ると
その瞬間に十四日間の隔離が待っている。
当然それは避けたい。
調べている内に抜け道を一つ、発見した。
深圳港から空港のゲート内まで
直通の定期船が出ている。
それを使えば香港に入国する事なく、
空港まで行けるらしい。
(※深圳蛇口港)
さっそく問い合わせてみた所、
運行はされている。が、
恐ろしい事を言われた。
可能性は低いが、
万が一、
乗る予定の飛行機が飛ばなかった場合。
香港に入国とみなされ
十四日間香港に閉じ込められるとの事。
隔離が解除になると
中国に戻らないといけない。
そこから更に十四日の中国隔離だ。
もしそうなれば休暇は水の泡だ。
更に、二十八日間の隔離費用は全て実費だ。
隔離先は国が指定強制する。
隔離ホテルが高かろうが誰も助けてはくれない。
念の為、LCCにも問い合わせた所、
やはりコロナの影響で
いつ飛ばない瞬間が来るかは分からない。
確約が出来ない。
と。
なんとしてでも乗りたかった香港案は
リスクが高すぎる為、諦めるより他なかった。
次点で行った事のない南京経由だ。
深圳から南京までは国内線で二時間十五分。
そこから更に成田まで三時間。
南京→成田ルートは週に一本だけだ。
このルートは今の所安定して動いているらしい。
(南京にさえ無事着ければ問題ないだろう。
中国の飛行機は良く遅延する。
何時間余裕を見ても安心は出来ない。
万が一遅延が長引き、
トランジットに乗り遅れたら
一週間待ちだ。
香港案の様に隔離とはならないが、
時間と現金を無駄に一週間分ロスする事になる。
「よし、南京は前日入りにして一泊しよう。
一泊のホテル代で
安心が買えるなら価値はある。」)
ここまではいつも通り瞬時に仮説を建て、
ベターを選択した。
だか、この判断がまだまだ甘かった事を、
後になり思い知る事となるsettだが、
今はまだ知る由もない。
無事に南京に辿り着き、
前日入りに成功した。
泊まるのは値段は少し高いが
空港に隣接しているホテルだ。
移動にいちいち別の乗り物を使っていては
その都度、時間が読めなくなるからだ。
徒歩なら安心である。
翌朝、離陸三時間前に
チェックイン受付に辿り着いた。
まだ二、三人しか居ない。
「もう安心だ。」
私は胸を撫で下ろした。
しかしここで平気でアクシデントが起こる。
油断したのが甘かった。
使うのは中国の航空会社だ。
アクシデントの次元が違う。
出発ニ時間前からチェックイン受付が開くはすが、
九十分前でも開かない。
一時間前になっても開かない。
そわそわしていたらタイミングの悪い事に
少し腹が痛くなり、
荷物も置きっぱなしに出来る訳もなく、
列を離れトイレに走った。
トイレは混んでおらず、すぐに戻れた。
ようやくチェックインがバタバタと始まるが、
私は列の最後尾だ。
普通の国際線であれば
一時間前には荷物検査を終わらせ、
三十分前には搭乗ゲートの前で待つのが普通だ。
なのに出発五十分前から受付が始まり、
全員のチェックインが終わる訳がない。
しかもコロナ禍なので、
慣れない為か、
ルールが悪いのか、
頭が悪いのか、
PCR陰性証明の手続きに
係員全員がモタモタしている。
列の最後尾になってしまった私は
心拍数と共に焦りが込み上げてくる。
まずい、経験上の中国クオリティだと
『はい、ここまででもう飛行機間に合いません。
次の来週の便に乗って下さ〜い。』
と、まるで人気のうどん屋が
今日の麺が売り切れたかの様に
平気で言ってくるはずだ。
もし日本で、
航空会社側の不手際でチェックインが遅れたが、
飛行機は搭乗を待たず離陸した。
なんて事が起これば、
大クレームでニュースになるだろう。
だがここは中国だ。
文句を言っても何も変わらない。
泣き寝入りだ。
なのに普段平気で遅延するのは
航空会社が都合の悪い時だけだ。
返金出来ないのだから
乗っても乗らなくても
売上は変わらないという判断だろうか。
それが嫌なら海外の高い航空会社使え。
とかその程度のものだ。
この時期の高い便は
片道で優に二十万円を超えてくる。
今回の安い便でも七万円だ。
普段の十倍近くの相場となっている。
日本では、電車がたった三分遅延で
謝罪アナウンスが流れる。
日本のお客様第一主義という
サービスクオリティの高さを
しみじみ感じる。
出発十五分前を切ると荷物検査を
受け付けてくれないルールだったが
なんとか二十分前に荷物検査のゲートまで
辿り着く事が出来た。
ここで更なる中国クオリティのアクシデントだ。
荷物検査の手前で変な特設ゲートがある。
係員「这app登陆和填好了吗?」
(このアプリ登録して入力終わってますか?)
sett「不知道啊啊啊啊啊」
(知るかあああああああああ)
係員「没有就不能过去」
(無かったら通れません)
もっと早くアナウンスしろよそういうのは。
とツッコミを入れたくなったが、
日々ルールが変わる中国だ。
これまた文句を言っても何も状況は変わらない。
文句を言いながら入力している中国人が
周りに数人居た。
落ち着け俺。
5分ある。まだ間に合うかもしれない。
開いてみよう。
画像みたいなのが3ページ程ある。
「なげええええええええええええ」
終わった。。。
私の中国語力では時間がかかり過ぎる。
五分以内には100%自力では不可能だ。
「まだや!」
半泣きになりながらやれる所まで挑戦してみる。
もしかしたら待ってくれるかもしれないという
一縷の望みを掛けて。
諦めたらそこで試合終了だ。
心拍数は最大値にまで達していた。
100mを全力で泳いだ後の様な鼓動だ。
手が震えながら入力を進めた。
少し意味が分からない項目もある。
普段ならネットで調べながら入力すれば
訳ない内容だ。
だが調べている時間は1秒もない。
「もうだめか。。。。」
と、諦めかけたその時、
奇跡が起きた。
ゲートの横に立っていた警備員のおっちゃんが
半泣きで入力する私に声をかけてくれた。
警備員「你是日本人吗?要不要我帮你」
(日本人か?手伝ったろか?)
sett「谢谢你!」
(ありがとうございます!)
考えている時間は無い。
彼を信じ即座に携帯を渡し、
祈った。
警備員「其实这个没有那么重要的,
(実はこれそんなに重要なヤツちゃうから)
大概对就行,好了,你快走」
(大体でええねん。出来た。早く行きな。)
私は携帯を受け取り、
深々と感謝の言葉と同時に走った。
いつかお礼がしたかったが、
名前も連絡先も聞く時間が無かった。
中国人は未だ反日の人も多い。
しかも仕事中の中国人は、
基本的に自分優先で
他人を助けるという文化ではない。
そんな中たまたま親日で、
更に親切な人と出逢えた。
もしかしたらあの人は、
過去に出会った日本人から
親切にしてもらった事が
あった人なのではないだろうか。
と思った。
なので私は中国人に助けられた日本人として、
やはり国や人種関係なく、
親切にしようと思った。
困った時はお互い様である。
あの時あの人が居なければ、
私は飛行機に乗り遅れ、
七万円のチケットを買い直し、
更に一週間の時間とホテル代を
捨てる事になっていただろう。
搭乗ゲートを閉める準備が始まっていた。
sett「等一下啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊」
(待ってえええええええええ)
まるでドラマのワンシーンである。
こんなタイミングでゲートを通る奴は
見た事がない。
係員「快点儿!」
(急げ!)
sett「我知道!」
(知っとる!)
機内までノンストップで走った。
野球のベースランニングかの如く、
無駄のないコーナーリングだ。
乗れた。。
良かった。。。。
本当に良かった。。。。。。
おっちゃんありがとう。
この御恩は一生忘れません。
(顔はすぐ忘れてもーたけどw)
無事成田空港に着いた私は、
東京で、友人や親戚と会ってから、
関西国際空港へ向かったのだった。
(日本の国内線の安心感たるや。。。。)
episode4
-完-
次回
青い星の村人〜season0〜
episode5
『YouTube第一話撮影開始!現地視察と草刈り。』
お楽しみに!
#田舎暮らし #DIY #キャンプ #焚き火 #山開拓 #自給自足 #古民家 #環境問題 #湧き水 #薪風呂





