プロテインの形が変わってしまうと、どうなるのか。
形が変わる事が、そのたんぱく質の通常のサイクルの一部である場合。
この場合は、変形する事自体が、良い事。必要な事。
例えば、細胞膜の中に埋め込まれている、輸送体。
このたんぱく質の役目は、特定の物質(例えばグルコースとか)を
細胞の外から内へ、もしくは内から外へ、運搬する事。
その運搬の仕方に、輸送体たんぱく質の変形が関わっている。
例えば、元々膜の外側に向けてオープンしていた輸送体が、
運搬するものを取り入れたことによって、形が変わり、
内側に向けてオープンする。
そうする事で、取り込んだ物質を、外から内へ運んでいる。
だけど、多くは、変形すると、機能を失ってしまう。
ヘモグロビンのような運搬を担うたんぱく質は、
変形すると、目的のものを捕らえる事が出来なくなってしまう。
故に、それを運べなくなる。
免疫に関わるたんぱく質なら、
潜入した細菌を見つけることが出来なくなってしまう。
よって、その細菌を退治できなくなってしまう。
酵素が変形してしまえば、
反応物を至近距離に持ってくることが出来ず、
反応速度を上げることが出来ない。
なので、代謝できなくなってしまう。
変形がその種類の内のたった一つのたんぱく質に起こっても問題はないけど、
沢山のたんぱく質に変形が現れると、病気になってしまう。
また、変形すると、変形したたんぱく質たちがくっつき、凝固してしまう事も。
たんぱく質が変形することにより、凝固してしまう例が、ゆで卵。
変形すると、本来なら内側に隠れている、
帯電していない部分が、表に出てきてしまう。
帯電していない部分は、周りの水の分子と仲良く出来ないため、
ほかのたんぱく質の、同じように表に出てきてしまった、
帯電していない部分と仲良くして、くっつきあってしまう。
そうして、変形したたんぱく質同士が集まってしまう。
ゆで卵を例にとると、凝固することが悪い事には思えないけれど、
凝固したたんぱく質は、様々な病気に関係している。
その例がアルツハイマーやパーキンソン病。
たんぱく質の変形を促すものの代表例が熱。
上記のゆで卵も熱によって、たまご内のたんぱく質が変形して、
結果凝固して、ゆで卵になる。
他にも、アルコールがたんぱく質を変形させてしまう。
アルコールは、
たんぱく質内の帯電している部分や、帯電していない部分を邪魔する事が出来る。
そうして、本来のたんぱく質内のアミノ酸同士の連携を壊してしまい、
結果、変形させてしまう。
この性質を、殺菌作用として利用しているのが、アルコール消毒。
アルコールが、菌が持つたんぱく質を変形させ、
その機能を破壊し、つまり、菌自体を殺してしまう。
たんぱく質には様々な種類があり、一つ一つに大事な役割がある。
その役割どれもが、壊れてしまえば、身体に不調をきたしてしまう。
よって、身体の中のたんぱく質の生成は、厳重に管理されており、
また、作られたたんぱく質の状態も、チェックされている。
身体は変形したたんぱく質を処理する仕組みをいくつか持っている。
例えば、たんぱく質が作られる時、
長いアミノ酸配列が折り畳まれていく過程を見守っているたんぱく質があったり、
変形して、壊れてしまったり、老化してしまったたんぱく質を
分解する仕組みを持っている。