人間の記憶は面白いものだ。
歳をとって、記憶力が弱くなったといっても
時間が経った古いことから忘れていくわけではなく、
むしろ、古いことでも忘れない領域があって
新しくても、曖昧なまま記憶し、
そのまま忘れてしまうこともある。
とくに10代のころの記憶は、
驚くほどに、年代順に整理されていて
なかでも、流行っていた音楽など
本当に細かく覚えているものである。
逆に、ここ10年くらいの流行など
関心が低くなったせいもあるのだろうが
からっきしダメで、
よく夜中の
「カウントダウンTV」
でやっている
“何年前のベスト10”
なんていうのは
「これって、
こんなに昔だったっけ?」
とか
「これって、
こんなに最近だったっけ?」
とか
もう指をくわえて見ているのみである。
さて、そんな、いわば当たり前のことを
僕は、ナンシー関の本を読んで
あらためて実感してしまったのである。
彼女が亡くなったのは2002年(平成14年)
ということであるので、
当然作品はそれ以前に書かれたものだ。
その時代は、
僕にとって一番記憶が曖昧な年代で
ナンシー関作品を読むと、
「CDTV」よろしく、
「これって、
こんなに昔だったっけ?」
とか
「これって、
こんなに最近だったっけ?」
とか
曖昧な記憶をぐちゃぐちゃと掻き回されてしまうのである。
先日ブックオフで買った
- 何様のつもり
- は、ちょっとしたカルチャーショックだった。
それは、この一文だ。
「織田裕二はCMのなかでやたらと叫んでいるなあ。
車のCMでは雨の中
『好きだ、好きだあーーーーっ!!』
と叫んでいるし、
それよりもすごいのは目薬のCMで
『きたぁーーーーーっ!!』
と叫ぶやつだ。」
ナンシー様はこのCMをご覧になっておられたのか?
頁の末尾を見れば
「91年10月」
とあるではないか!
おおおッ!!
そうだったのか?
織田裕二は、
そんなに昔から“き”ていたのか?
そして、
山本高広は、
そんなに昔のCMを
ネタにしていたのか?
「ナンシー」本で、曖昧だった記憶が
さらにぐちゃぐちゃにされるのは
結構ココチよいものである。