だいぶ間が空いてしまいましたが、第二回です。
色々あったんですよ、末期がんになったりとか。
まぁそれはともかく始めたいと思います。

「硝子の少年」、大好きな歌です。デビューしたてのKinKi Kidsとシンクロして、とても甘酸っぱい世界が展開されてゆきます。
山下達郎版?
…知らんな!そんなものは!

「雨が踊る bus stop 君は誰かに抱かれ 立ちすくむ 僕の事 見ないフリした」
…完璧な出だしです。このフレーズだけで既に詩的。最高。
想像するに、主人公の男の子はKinKi Kidsと同じ17歳。
ここでは仮に「剛君」としておきましょう。イメージです。
その剛がひょんなことから付き合い始めた女性がいまして、雰囲気的に24歳くらいのOL。
仮に「沙織」とします。
で、突然降り始めた雨に顔をしかめながらの学校帰り、いつものバス停に剛がやって来ると、
車道を挟んだ反対側で抱き合うカップルを目にします。
若いし、目も良いのですぐに分かってしまいます。「沙織」でした。
「指に光る指輪 そんな小さな石で 未来ごと売り渡す 君が悲しい」
背の高い男性の肩ごしに見えた
その潤んだ瞳、回された左手薬指に光るリング。
…婚約指輪です。
そりゃ、そうだよな。沙織さん綺麗だし、他の男がほっとかないよな。 
じゃあ、なんで俺みたいなガキと付き合ったんだよ!
硬直しながらもその光景から目を離す事が出来ない剛。
うっすらと開いた沙織の目。
確かに目と目が合ったはずなのに、彼女はとぼけるように目を閉じて幸せな自分の世界へと逃げて行った。
「沙織さん!誰だよその男!」
叫びたかった。
だが、受け止めなければいけない事実はあまりにも大きく、重すぎた。
心は硝子細工のように砕ける。
17歳の剛はただ固まったまま、
バスに乗って去る二人の姿を
見送る事しか出来なかった。
 
「映画館の椅子で Kissを夢中でしたね 唇が腫れる程 囁き合った」

後日、そちらがとぼけるなら
こちらも、と言わんばかりに
剛は何喰わぬ顔で沙織に連絡を取る。「映画に行こう」
上映中、周りにひと気のないのを確認すると 剛は若い情熱をそのままぶつけるように
沙織にKissをした。
絶望的な状況を、どうにか変えたい。今まで付き合って来た日々が嘘でなかったと信じたい
…そんな気持ちだった。
彼女はKissを拒まなかった。
まだ望みはあるのかもしれない
だが、彼女の身体からほのかに香るコロンの匂いが 剛の心に
また冷たいヒビを入れる。
嗅いだことのない匂い。
俺の嫌いな柑橘系のコロン
これは「拒否」なのか。
「次はいつ会える?」
多少強引に約束させようとすると、沙織は目をしばたたせながら
「そう、ね…仕事もあるし、またこちらから連絡するから。」
と答える。
まばたきは彼女が嘘をつく時の癖だ。
それを知っているのは俺だけ。
傷つくのも、俺だけ。
彼女の心は戻らない。
あの幸せな日々は嘘だったのか。
別れの挨拶もそこそこに、
逃げるように去っていく沙織。
いつしか降り出した雨の中、
立ちすくむ剛。
彼女を恨み、嫌いになりたいのに なれない、そんな汚い気持ちを洗い流すように雨を浴びる

「終わった」
悲痛な気持ちでそれを受け止めた頃、雨雲が切れ始め、やがて
日が刺してくる。
眩しさに目を細めながら思い出す。あの幸せな日々を。
そこに嘘はなかった。
確かに愛はあった。俺の中には。それは間違いない。

君だけを愛してた。

硝子のように砕けた剛の心が
日差しに照らされて煌めく。


‥以上です。
そういった妄想です。
お付き合いありがとうございました。
第三回は「ルビーの指輪」の予定です。