さて一番にお部屋へ入れましたので、先にお床を拝見致しますぞ。
驚く大きさの達磨図です。
お床のサイズが立派ですので、お軸も迫力ですね。
新年らしいおめでたい図ですので、嬉しくなります。
花器には恐らくお庭の南天、千両、万両、松、竹が入っております。
お庭のものでお客様をおもてなしする昔ながらのお床で、その姿勢にも心が温まりますね。
左手には大きな竹の竹炭です。
こちらも院の竹での手作りでしょう。
香炉は既に焚かれ、良い香りが部屋中に漂っております。
右手に、仏手柑(ぶっしゅかん)。
此方もお庭で生ったものですね。
こんなに立派な仏手柑はなかなか見られません。
最後のお客様まで拝見叶うよう、枝の乾燥に気を配っていらっしゃるところも流石です。
違い棚の方の天袋が金で、此方にも目を奪われます。
白い野菊が濃いお色の葉と相俟って、繊細な葉の描写も合わせて素晴らしく金に映えております。
これはお菓子ですって。
兎と松葉は落雁でしょうか。紅梅は飴かもしれませんね。
笹は練り切りにしては線が入れ難い位置にありますし、こちらも飴でしょうか。
近付いて見てみましたが、わかりませんでした。
もしお判りの方、いらっしゃいましたらお教え下さい。
暫くお座敷内を拝見しておりましたら、名前が呼ばれました。
緋毛氈へ座ります。
一番上座を避けて、お床から一間空けて座りましたが、どなたも其方の間へはいらっしゃいませんでしたので、結果的にこの日の一番上座へ座らせて頂くことに。
福茶とお祝い菓子が参りました。
福茶は梅湯。
若水で点てた茶に梅干し、昆布、山椒などを入れて家族で飲むと、一年中の邪気を払い万病を除くと言われるそうです。
此方は禅寺での茶礼に倣い、茶葉を用いない朝の茶礼として湯に梅の入ったものでした。
お菓子は
・水菓子蜜柑。だいだいで、代々続き栄えるの意。
・結び笹の和三盆。笹は縁起物。
・松の雪、上菓子。先の飛龍の松に積もる雪を思わせます。
・干し柿。嘉喜に通じおめでたく、万物をかき集めるという意味もあり、一年の幸運を願うものです。この干し柿、特筆せねばならぬ程ふっくらと水分を多めに含んだ、とても美味しいものでした。
・慈姑。真ん中上の、チップスのようなものです。輪切りにして、日干しにしてありました。
味付けは何もないですが素朴な根菜の甘みが口へ広がり、私はこちらが一番美味しかったです。
お節と同じく、携わることに芽が出ますようという意味。
・豆。紅白のお砂糖を塗しましたもの。厄払いの意味と、マメであることへ感謝し健康に暮らせるようにという意味が御座います。
・結び昆布。古くは広布(ひろめ)と呼ばれ、広くなるという意で、喜びを呼びます。
この時期持ち歩いております懐紙は雪をイメージしましたもの。
お茶会の予定は御座いませんが、丁度上手くお菓子を受けて使用出来、ゆっくり友人と年末年始のお話をしながら、お菓子を頂きました。
食べ終わり、暫くささやかに歓談しておりますと、今度は別室へとご案内が御座います。
すきっと背筋の伸びた水仙が入っていて、私も友人も笑ってしまう程に背筋を伸ばしてしまいました。
年も心も改まります水仙ですよね。
花器の背筋も水仙にぴったりですね。
香炉は久谷。雅やかな景色を文字のお軸ですっきりと纏めてあります。
華やか且つ清新な風も感じ、誠に新年らしいお床ですね。
お軸の字が読めませんでしたので、もしどなたかお判りの方がいらっしゃいましたらお教え下さい。
今回は案内されましたのが本当に上座の上座でしたので、お床の前に正座です。
お膳が参りました。
続きます。