世界は僕の庭 |  青行燈

 青行燈

  本業絵描き。副業でモデルと役者をしております。
  数学の家庭教師とハウスキーパーのお仕事は休日に。
  21歳大学生の息子と二人暮し。
  必要なものは自分で作ってしまう方。
  日本酒、食器、手拭い、妖怪、恐竜、昆虫、お花好き。
  

三歳児、四歳児のお嬢様やご子息をお持ちのお母様方が、「危ない道路へ差し掛かったときに、子供が勝手に手を放してぱっと走って行ってしまう。肝が冷える」といったことを話しておられました。


我が家は親子共ADHDで、息子には癲癇(てんかん)の発作がありました。
三歳四歳の急発進は元より、小学校の通学路には線路。

毎日踏切を渡らねばならず、踏切内でもし発作が起こった場合死は免れられず、故に小学校は毎日送り迎えをし、買い物やお友達のお家へ行くときなども必ず手を繋いでおりました。

しかし私も四六時中力を込めて手を繋いでいる訳にはいかず、やはり息子も二歳から小学校高学年まではぱっと手を放して走って行ってしまうことも多く、学校や家庭から脱走しては一人で街を走り回るということも少なくありませんでした。
思い立ったが吉日のADHDですから、周りなぞ見えてはおりません。

誰も自分を止められはしないですし、世界は区切りなく僕の庭です。

 

自宅でも、食べながらテーブルの周りを食べ終わるまでずっと走って回り、ゲーム中もしている間中飛び跳ねております。

上弟も大人しい方ではありませんでしたので、私はそういったことにとても慣れており、苛々としたり怒ったりということは全くありませんでしたが、何度も学校から「脱走した」と連絡を受け、先生方と共に探して走ることはお仕事も出来ず困ったことでしたし、どこかで一人事故に遭っているのではと思いながら探すのには毎度肝の冷える思いでした。

 

「危ないから」という叱りは、小さな頃やADHDには意味を成しませんが、日本語と愛を伝えることが出来ます。

無駄だと思わずまた、苛々とする必要もなく、心配したなら心配しただけ大声で伝えるのも良いですし、相手の視線に合わせて説くのも良いでしょう。

人は夫々ですし、毎日共に過ごしている相手です。

相手への愛ならば、伝わると思います。

ただ、自己愛と、相手への愛を間違わずに。

苛々してしまうということは、自分の思い通りに事が運ばないと感じているということです。

子供のことに限らず、世界は自分の思う通りになど展開しないものですからね。

 

子供が走って行ってしまうことについての対処に、市販の可愛い背羽付きハーネスやハーネス付きリュックなどがございます。

賛否両論ですが、私は我が子が大変多動でありましたので、これがあると命を守られるであろうという場面を何度も経験致しました。

残念ながら私の時代にはまだそういった商品が御座いませんでしたので使用したことはないのですが、かなり有効な商品だと感じます。

また、手を繋いだ親子の両手首に繋げる迷子防止紐。

見目がペット紐と違い柔らかい印象ですので、子供の行動に理解のない方からの支持も得られやすいものです。