猫色ケミストリー (『このミス』大賞シリーズ)/宝島社


有機化学系小説第二弾!とでもいいますか。

前作に引き続き、有機化学を扱いながらもラブコメです(笑)

以下、盛大にネタバレを含むので注意!



さて、とりあえず読了して言いたいことは・・・

好きな人を卒業させないために実験に余計なもの混入させて失敗させたり、

覚醒剤買えなくなるからって自分で作っちゃったり、

この研究室ホントに大丈夫か!?!?(※フィクションです)

しかも内輪で恋愛感情湧き過ぎだろ・・・

いくら日常的に近くにいてもさー。

世の理系学生が皆そうだと思ったら大間違いだぞ。


しかし、話の作り方はやはり巧いなーと思う。

実は結構展開先読みできちゃって、

謎解きも珍しくほとんどわかったんだけれども、

一つだけ読み切れなかったのが雨宮さん=菊池君回想の女の子。

世間は狭いなーなんて思ったが、これは予想不可能だろ・・・


話のテンポもなかなか良くて、一気読みできた。

一応曲がりなりにも化学を扱っているからか、

有機化学実験の描写は特に問題なく理解できた。

他の分野の人から見てもたぶんわかりやすいんじゃないかな。

残念だったのは、入れ替わりを戻す条件が

最初のように落雷など自然現象による偶然ではなく、

合成した覚醒剤によるものだったこと。

どうせSFなんだから物事解決した後に再び

入れ替わって戻れた、でいいじゃんと思ってしまう。

入れ替わるためにそりゃ人間が服用するわけには

いかないだろうけど、猫に服用させるのもなぁ。。。

動物愛護団体が目を剥きだして怒るに違いない。

それから主人公の菊池君が無個性だということ。

人間嫌いという属性を除いて、単に論理的だというだけで

どうも面白みがない。計算科学系という所属もイマイチ

活かされず、誰が主人公でもいいんじゃないかと思ってしまう。


まぁ総合的には結構楽しめた。

そして化学者たるもの、責任もって実験すべきだなぁ、とも。

有機合成の達成感はあまり伝わってこないが、

真摯に実験に取り組もうと改めて意識できたので良しとしよう。


影丸の一言:
もっと自分にシビアになりたい。