花の鎖/湊 かなえ


後半に面白くなるのがミステリの醍醐味だよね。

最初は淡々とした文章に飽き飽きしていたケド、

事実が鎖のように繋がっていくときって快感を覚える。

物語は3つの視点から描かれており、

共通するのは「K」という謎の存在。

3つの時間軸が異なることに気付くのに遅れたが、

まぁ巧いことどの時間軸にもイニシャル“K”がいるんだよね。

大体誰が「K」か、ってのは予想がつくのだけれど

まぁそれを推測しながら読み進めるのが楽しいんだろうね。


さて、物語の構成テクニックもなかなか素晴らしかったが、

やはり特筆すべきはこの作品で描かれる“繋がり”であろう。

世の中、こんな偶然あるんだってくらい意外な人間関係とか

珍しくもなく存在するけど、これほどまでに繋がりが連鎖

していくのはさすがに珍しいし、だからこそ読み物になる。

繋がりというものはどこにでもある有り触れたものであり、

それは世代を越えて、国籍を越えて、或いは生物種を越えて

存在しうるものであると思う。ちょっと誇張し過ぎな気もするが

まぁそれだけ普遍的でありながらも壮大であると言いたいワケ。

だからこそ、実際は何らかの形で繋がっているのに、

その繫がりに気付けないで一生を終えるなんてことも

よくある話なのかもしれない。人と人との繋がりを改めて

意識してみることで、いつもと違う世界が拓けてくるかもしれない。


随分とまぁ影丸的解釈を展開したけど、

作中で絵の解釈は自由だ、と主張されているように

本の解釈だって千差万別でいいじゃないかい?

どんな解釈であれ、作者の意図と異なるのであれ、

読み手が何かを感じ取ったのなら、

それはそれで価値のあることだと思う。

拙者は、もののついでにそれをこのような形で

発信しているだけなのでしょうね。

まぁ書評と単なる感想がごちゃ混ぜですが、

そこは“気まぐれ”に免じて許してくださいな。


影丸の一言:
生活リズムがおかしいな。
授業始まるのにこんなんで大丈夫か?