福袋/角田 光代


夏休みに入ってから思うように本が読めていなかった;

まぁ実質の夏休みはお盆休みの1週間で、

現在はまた研究室で実験の日々を送っております。

そんなわけで、なかなか本に時間を充てられなかった。

夜中に先生が帰ってくるまで待つついでに、

今日は本を読むぞ、と割り切ったので一気に読破。


さて、今回は「福袋」という短編集。

短編集はちょっと久しぶりなので新鮮だった。

“福”の字が入っているので幸せなお話かと思ったが、

どれも釈然としない、なんだか不思議なテイストだった。

多分短編のどれもが現実的というか夢がないからだと思う。

まぁ夢を推せばいいってもんでもないだろうけどね。

こういう変化球なアプローチも時にはいい刺激になる。

全体的に、始まりと終わりで現実は

何も変わらないのだけれど、何かしらの出来事により

その捉え方・価値観が変わったりする感じかな。

人生においてそのようなことは割と起こり得るもので、

ちょっとした出会いを重ねて少しずつ変わっていく。

退屈で変わり映えの無い毎日の中にも少なからず

そういった現象は存在しているはずで、単に

それらに気付けていないだけなのかもしれないね。

そう思うと、不可解だけど面白いものだなぁ。

些細な出来事で人間は少しずつ変えられていくんだね。

どの出来事がどのように人間形成に関わるかなんて

わからないから、ある種のブラックボックスみたいだ。

そうすると、書名の“福袋”というのは現実味を

帯びてくるようにも思える。

(実際は違う意味で使われているが、曲解してもいいよね?)


人は、楽しくも悲しくも色んな出来事を受けとめて、

それを心に背負いながら、変わらぬ現実を生きている。

まぁ読んでいて気持ちのいい話ではないが、

どれも不思議な感じではある。それゆえに

拙者の書評も安定しない文章だが(笑)

最近人生とか、大きなテーマに準えて書くことが多い。

もう歳なのかなぁ;


影丸の一言:
この時間帯から寝るのって勇気がいるよね。
このまま起きてて実験でもした方がいいかも。