十字架 (100周年書き下ろし)/重松 清

人の命は、重い。


人の死も、もちろん重い。


世界からたった一人の人がいなくなるだけのことが、


こんなにも悲しく、こんなにもツラいものだとは


正直なところ考えたことはなかった。


正確に言えば、考えが及ばなかった。


人の死とは何なのか。


今までに拙者自身が展開した持論は


綺麗事を並べただけの陳腐なものでしかなかった。


他人の死を乗り越えるというのは、その人の死を


自らの心の中に十字架として背負うことを


“覚悟”することではないだろうか。


決して、単純に記憶から消えたから乗り越えた、


というのは間違いだと思う。その人の死を


一生背負い続けることを受け入れることだと思う。


なかなかこういった精神論は言葉で表すのが難しいね。。。



現代では学校のいじめなど日常茶飯事だし

(もちろん軽いものから深刻なものまで様々だが)


メディアで取り上げられていても、所詮他人のこと。


いじめをなくそう!なんてもっともらしいこと掲げるよりは、


一人でも多くの子供たちにこの本を読んでもらったほうがいい。


きっと、普段軽々しく口にしている“死ね”という言葉が、


どのようなものなのか分かるはずだ。


拙者自身、子供の頃から“死ね”“死ぬ”は沢山言ってきた。


タイムマシンでもあるのなら、過去の自分に伝えたい。


“死”というものはもっと重く、尊いものであると。


子供がふざけて口にしてよいものではないということを。



影丸の一言:

ここ最近の睡眠事情がちょっとヤバい。