北朝鮮の窮状と孤立する韓国

報道によると

 米朝実務協議で北朝鮮の焦りが、「協議は決裂」となったらしい。北朝鮮は窮状打開を目指して、米国にかなりの要求を行ったのだろう。だが、米国はそれに応じなかった。その意味では、米国は北朝鮮の焦りを通して制裁の効果を確認したのだろう。

 

 

 これは、南北統一を目指す韓国の文在寅にとって無視できない事態だろう。これまで、文氏は積極的に北朝鮮との融和を進めようとしてきた。しかし、北朝鮮の最大の関心が米国との直接対話であることが明確になり文在寅の存在感を発揮することが難しくなった。

 

 

 

 金正恩は軍事挑発などを通して米国から譲歩を引き出したい。足許、北朝鮮の金正恩は、自国の置かれた状況にかなりの焦り、危機感を募らせていると考えられる。世界食糧計画(WFP)によると、北朝鮮の農業生産高は過去10年間で最低水準に落ち込んでいる。国民の4割程度が十分な食料を手に入れられていないと報告されている。これは、金正恩の独裁体制を揺るがしかねない事態だ。

 すでに北朝鮮は漁業権を中国に売却して外貨獲得に動いてきた。その上、食糧確保のために北朝鮮の水産業者は、旧式の船舶を用いてわが国やロシア近海にまで出漁せざるを得なくなっている。米国など国際社会からの制裁は、着実に北朝鮮経済を締め上げていると考えられる。状況はかなり厳しい。
 

 金正恩は、体制を維持するために国内の窮状を打開しなければならない。そのためには、米トランプ大統領の顔を、自分のほうに向けさせることが欠かせない。北朝鮮は、潜水艦発射弾道ミサイルの発射などに加えて、ICBM発射実験の再開示も示唆し、米国の関心を引こうと必死になっているとの見方もある。

 

 北朝鮮の経済状況をもとに考えると、焦れているのは北朝鮮の方ではないだろうか。米国は更に北朝鮮が厳しい状況に陥る状況を待ち、有利に交渉を進めたい。対して、北朝鮮はいち早く窮状を脱するために米国に譲歩してほしい。ストックホルム実務協議において、この姿勢の違いが鮮明化した。

 

 この状況下、北朝鮮融和策を中心に韓国の文大統領の出番はさらに少なくなってしまったといえる。

 

 文在寅は、2045年に朝鮮半島を統一したい。そのためには北朝鮮が韓国の方を向かなければならない。しかし、金正恩は、直接、米国と交渉できる状況を手に入れた。文大統領が北朝鮮に呼び掛けても、金委員長は聞く耳すら持たなくなってしまった。

 

 それに加え、対日政策でも文在寅は戦略を誤った。文在寅は日韓関係を戦後最悪にまで冷え込ませ、わが国の世論も敵に回してしまった。それに加え、韓国国内でも法相任命によって保守派と左派の意見対立が激化している。 文大統領が経済を中心に社会の安定を目指すことは、追加的に難しくなる恐れがある。 左派政権の維持と半島統一を夢見る文在寅の主張は勢いを失っていくだろう。

 北の金正恩が倒れるのが先か文在寅政権が政権の座を追われるのが先か楽しみである。