2025年8月10日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第619回です。
ウクライナ詠、パレスティナ詠、反トランプ詠、いずれもありませんでした。
現象全体として好ましからざることと感じます。
【俳句】
沖縄は・今も前線・敗戦日 (東京都杉並区 野口嘉彦)(長谷川櫂選)
(ウクライナ全土を攻撃するロシアを見れば、もはや前線という概念はなくなっていると言える。)
逞(たくま)しき・腕の男も・さす日傘 (東京都府中市 保坂倶孝)(長谷川櫂選)
(美的感覚に反するも、致し方なし。)
【短歌】
養蚕を・継がざりしわれに・遺されて・広き畑は・コスモスの花
(安中市 岡本千恵子)(高野公彦選)(佐佐木幸綱選)
(桑の木をすべて伐根したようだ。)
真夏日も・ヒジャブまとひて・工場へ・急ぐ女性の・深き眼差し
(西条市 村上敏之)(永田和宏選)
(外国人労働者への日本人の眼差しが俳句、短歌等々を通じて洗練されていくことが期待される。)
解体の・現場に異国の・言葉聞く・妻子も母も・いるひとびとの
(東京都 西出和代)(永田和宏選)
(前コメントに同じ。)
減反を・すれば補助金・くれし国・米騒動の・始まりはここ
(前橋市 荻原葉月)(永田和宏選)
(事実認識として間違っている。敢えて「米騒動の始まり」を一言で言えば「安上り農政」。)
ぬいぐるみ・千体生みし・指仏・たいそう褒めら・れて骨壺へ
(鎌ケ谷市 夕菅女)(川野里子選)
(骨壺へ納められる骨は選択することができるって知ってる?)
サバンナの・獣さながら・距離を置き・木蔭ではじめる・ラジオ体操
(札幌市 田巻成男)(川野里子選)
(森の中まで広がっている北海道神宮でのラジオ体操ではないか?)
AIに・思考機会を・奪われて・「考える葦」で・なくなる人間
(福島市 安斎真貴子)(佐佐木幸綱選)
(AIは平均的常識的情報を提供することができるだけ。そんな情報を獲得するだけのことを「考える」とは言いがたい。AIは、AIからの情報を踏み台にして人間が個性ある思考を展開する機会を増やしてくれると考えられる。)