2025年8月2日
全国放送ではなかったようだ。広島発の中国地方限定の番組だったようだ。
ポルノグラフィ、さだまさし、南こうせつなどの出演する音楽番組で、8月1日(金)午後7時半からのゴールデンタイムに放送された。
その番組は「コネクト いのちのうたフェス2025」というのだが、そのサブタイトルがひどい!
「平和がいいに決まっている!」というのだ。
「平和がいいに決まっている」それ自体がまちがっているのでは、もちろんない。
しかし、「平和がいいに決まっている」は、当然直ちに「それなのになぜ戦争はなくならないのか?」という問いを生み、ある場合には戦争を引き起こす政治指導者たちへの抗議となり、ある場合には究極的原因となっている人間の欲望への深い反省となり、ある場合にはただひたすらの祈りへとつながっていく。
平和の希求が実現されず、むしろ逆行している今日の状況が人々に呼び起すのは、「平和がいいに決まっている!」などと叫ぶにとどまるものでは決してないはずだ。
「平和がいいに決まっている!」というサブタイトルは、そのことを誤認したまったく不自然なもので、仮想の若者に迎合した(=若者の実態を知らず、若者を軽視している)NHKの狂気の沙汰と思われる。
サブタイトルの設定についてNHK内部でどのような手続きがあるのか知らないが、このようなサブタイトルをチェックできないNHKの鈍感にあきれるほかはない。
また、平和を志向していることを看板に掲げ、若者の味方であることを「売り」にしている出演者たちが、このサブタイトルに何の問題意識も感じずに平然と出演していることに偽善を感じさせられる。
戦争への思いをはせる8月を迎えて、被爆地広島の放送局として、反戦平和が盛り込まれた一般視聴者向けのエンタテイメント番組を作る必要があるというだけの、心底からのメッセージ発出意欲に欠ける安易な番組作りの姿勢が、このような狂気の沙汰を生んだのではないか、と筆者は疑っている。
(筆者は番組それ自体は観ていない。番組の内容は平和を希求する優れたものであったかもしれない。しかし、それにしてもサブタイトルはひどい。)