2025年7月6日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第614回です。
パレスティナ、ウクライナ詠、反トランプ詠が短歌に4、俳句に3ありました。後ろに掲げます。
【俳句】
釣堀や・時計なき人・集まれり (相模原市 はやし央)(大串章選)
(選評には「釣りに没頭して時が経つのを忘れる釣り人たち」とあったが、その解釈は違います。)
旅にゐて・独り茅の輪を・くぐりけり (新潟市 田丸信子)(大串章選)
(すごく孤独のような、孤独を楽しんでいるような。)
林道を・蟹の横切る・雨上がり (沼津市 石川義倫)(大串章選)
(ほっとするような、気持のいい空気。)
夏雲や・グレタ・トゥンベリ・独り起つ (大阪市 灘本ただのり)(高山れおな選)
(パレスティナ詠。)
黴けむり・あげてアメリカ・毀(こわ)れだす
(山梨県市川三郷町 笠井彰)(高山れおな選)
(反トランプ詠)
アメリカの・抗(あらが)ふ民や・青嵐 (八王子市 額田浩文)(長谷川櫂選)
(反トランプ詠)
【短歌】
A五判・九百ページの・三行に・祖父は眠れり・連隊史の中
(中津市 瀬口美子)(佐佐木幸綱選)
(人間の営みの無意味さ、はかなさ。)
伝達の・方法のみが・熟しゆき・伝える内容・熟さぬ文明
(横須賀市 丹羽利一)(高野公彦選)
(熟した内容はあるのに、その理解力が育たぬところ、むしろ低下しているところに問題があるのではないか?)
この人とは・無理かも知れぬ・雨上がり・虹知らせても・見ようともせず
(さいたま市 齋藤紀子)(永田和宏選)
(虹云々にかかわらず、すでに心が離れていると見える。)
豚乗せた・トラックゆけり・生きものの・まだ生きている・匂いも乗せて
(観音寺市 篠原俊則)(川野里子選)
(日常のすぐ脇を過ぎている「残酷無残」。)
市民みな・弾雨の下の・ウクライナ・蛮鬼と戦う・同志たちなり
(世田谷区 岡田菜七子)
(ウクライナ詠)
核兵器・作らせぬための・空爆に・正義はありや・人道はありや
(朝霞市 岩部博道)(高野公彦選)
(パレスティナ詠)
もう一度・選挙があっても・支持者らは・トランプに投票・するのだろうか
(観音寺市 篠原俊則)(永田和宏選)
(反トランプ詠)
空爆の・報聴きつづけ・均衡を・たもつ体の・時に傾く
(高松市 樋口淳一郎)(川野里子選)
(ウクライナ詠、パレスティナ詠)